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小型家電の貴重な金属、資源を守る行動とは

2021年5月31日 22:02
小型家電の貴重な金属、資源を守る行動とは

今週、日本テレビは「Good For the Planet」ウィークとして、私たちの地球をより良くすることに取り組みます。

そのカギとなるのは、every.でも取り上げてきたSDGsです。全部で17ある目標のうち、31日、とりあげるのは産業と技術革新の基盤作りです。ちょっと堅苦しいですが、私たちが使う携帯電話の中に意外なヒントがありました。

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区役所など町の中心的な建物に設置してあるこの黄色い箱。特別に中をみせてもらうと、使用済みの携帯電話が。

実はこれ使わなくなった携帯電話やデジカメなど9品目を回収する「小型家電回収BOX」。港区では、13か所に設置されています。

みなとリサイクル清掃事務所・佐藤高志さん「ACアダプターなどのコード類が、非常に多いなという印象です」

港区では月に2回、回収を行っている“不燃ゴミ”などで小型家電を捨てることもできますが、わざわざこのボックスで回収しているワケは。

みなとリサイクル清掃事務所・佐藤高志さん「再利用できる金属が多い、というのがポイント」

実は小型家電には、再利用できる貴重な金属が多く含まれているため、回収ボックスの中は、まさに“宝の山”なのです。小型家電の中に眠っている貴重な金属とは。

訪ねたのは千葉県市川市。こちらの工場では、家庭用の冷蔵庫などのリサイクルを行っています。大きな冷蔵庫が、わずか30秒で粉々に。そんな工場の一角では、千葉県内の自治体が回収した小型家電もリサイクルしています。中でも重要な部分が。

ハイパーサイクルシステムズ 製造技術部長・小笠原忍さん「私どもが特に手を加えているのは、この基板類になります。ICのたぐいには、金が含まれています。この端子は全部、金メッキされたもの」

電子機器の心臓部である「基板」。電気をよく通し、やわらかくて加工しやすい「金」が使われているのです。この基板を粉砕し、別の工場でさらに細かく分類などしていくと、1トンあたり20gもの金が取り出せるといいます。さらに、貴重なのが。

ハイパーサイクルシステムズ 製造技術部長・小笠原忍さん「携帯電話にはバッテリーが含まれています。コバルトのたぐい、リチウムが含まれている」

バッテリーに使われるコバルトやリチウム。IT機器には欠かせない金属ですが、海底などから取り出すのが難しいことから「レアメタル」と呼ばれています。

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そんなレアメタルを巡っては、紛争が起きている地域も。それが、世界のコバルトの生産量の大半を占めているアフリカのコンゴ民主共和国です。紛争で傷ついた人たちの支援を行っている団体は─。

認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事 鬼丸昌也さん「鉱物資源がほしいがために、コンゴ(民主共和国)国内だけじゃなくて、国外からもいろんな武装勢力がやってきたり、それを買い付ける人が武器を持ってきたりして、内戦が激しくなっている。私たちの使っているもの、消費の先に紛争があることを理解する、ことが大切」

小さな家電の背景にある大きな課題。毎日手にする私たちだからこそできることも。家に眠っているパソコンもそのきっかけのひとつに。

いらなくなった小型家電を箱に詰めて送ると、引き取ってくれるサービス。パソコンを入れると無料になるのです。そのパソコンが全国から集まる愛知県の工場では。

リネットジャパングループ取締役・中村俊夫さん「段ボールがたくさん並んでいるのが見えるかと思うんですけど、全国の消費者から送られてきたまさにパソコンなんですね」

毎日、数千箱届くというパソコンなどの小型家電。コロナ禍で家の片づけをする人が増えたこともあり、前年比、2倍の量が集まる月もあるといいます。気になる個人情報もセキュリティーが管理された施設内で消去してくれるといいます。パソコンの部品は、10種類以上に分解しますが。

リネットジャパングループ取締役・中村俊夫さん「これはハードディスクですね。レアメタルを含んでいます」

パソコンは特に、価値のある金属が詰まった小型家電。そのため、他の家電を一緒に無料で引き取っても利益が得られ、こちらの会社ではおよそ98%リサイクルできているといいます。

中村さん「消費者の方のご協力ひとつで資源の行方って変わってしまう。回収にご協力いただくことが一番大事」

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ちょっとしたわたしたちの行動が、貴重な資源を守ることにつながるかもしれません。