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當銘 カナディアンシングルで東京五輪内定

2021年5月30日 23:24
當銘 カナディアンシングルで東京五輪内定

30日、カヌー・スプリントの東京五輪代表選考会が、石川県の石川木場潟カヌー競技場で行われ、男子カナディアンシングル1000メートルで當銘孝仁(とうめ たかのり)選手が優勝し、開催国枠による東京五輪代表に内定しました。

午前8時半から9選手により行われたレース。當銘選手は前半から積極的なレースを見せ、風も味方につけながら残り100メートルで一気にスパートし、4分1秒343の好タイムで2位に3秒以上の大差をつけ優勝。初の五輪代表に内定しました。

試合後にはまず最初に奥さんと0歳の息子さんに連絡。「何言ってるかわかんなかった。本当にワーワーおめでとう、おめでとうみたいな。『勝ったよ』と伝えたんですけど、もうその瞬間家族も一緒に待機してたので、ワーとなってあと何言っているかわからなかったので、後でかけ直すって言いました」と笑顔。毎日電話するほど當銘選手にとって家族の存在は大きいといいます。

「応援してくれてるので、そこはやはりかっこいいオヤジでいたいじゃないですか。子供が大きくなったら授業参観とかでワーキャーされたいです」勝利した秘訣を聞かれると「一貫性を持ったこと。何かあったから何か変えようとかブレたりとかじゃなくて、一貫して今までやってきたことと自分ができるって信じていることをこのレースでやった。レース中は少し風も自分を味方していると思った」とコメント。

試合前にはいろんなゲン担ぎを行ったと言います。「担げるゲンを全部かついで、できそうなこと全部やって試合に臨みました。地元の小松市は安宅住吉神社、勝負事の神様がいるのでお世話になっています。そこに行って新しいお守りをゲットしてカバンに付けまくって今日勝った。(内定)報告に行こうかな」と勝利のウラにお守りパワーもあったことを明かしました。

また、地元・沖縄、所属先の新潟の方々へ「地元の同級生とか、所属している新潟の方々も、どういうときでも本当に最後まで熱く応援してくれた。自分は今まで目立つ存在ではなかったので、応援してくれる人もめちゃくちゃ多いとかじゃないんですけど、それでもコアな人達が、一部の人達がめちゃくちゃ応援してくれた。それはありがたいし、めちゃくちゃ力になりました。その人達がいなかったら、多分自分はアジア選手権で気が抜けて競技を辞めてたと思います。このレースも本当にこんなに漕げなかったと思います」。

引退を考えていたという當銘選手。背中を後押ししてくれた周囲の人々へ感謝の言葉を口にしました。

カヌー・スプリントは前回のリオ五輪で日本代表選手は一人も出場できませんでした。だからこそ當銘選手に叶えたい夢があります。「カヌー・スプリント初の金メダル。出るからにはメダルっていうのは目指したいですし、目指すからには一番いい色がいいのでそれに向けて頑張っていきたいと思います」。

當銘選手は沖縄県糸満市出身の28歳。糸満市は競漕を行う伝統行事、ハーレーが盛んで、當銘選手も中学生から始めました。高校1年生の時にアルバイト先でカヌー経験のある先輩から「ガタイがいいしハーレーやってるからカヌーやれば」と誘われたことをきっかけに競技を始めました。

東京オリンピックの出場枠獲得がかかっていた今月5日のアジア選手権・男子カナディアンペア1000メートルでは、高校の後輩でもある大城海輝選手とともに出場し、カザフスタンペアにわずかに敗れて2位、東京五輪出場枠獲得を逃していました。