×

卵巡り国際会議紛糾…焦点“動物福祉”とは

2021年5月26日 20:04
卵巡り国際会議紛糾…焦点“動物福祉”とは

日本人1人が1年間にたべる卵は、およそ340個。世界でも1,2を争う卵の消費大国だそうです。その卵を巡って今週始まった国際会議で、議論が紛糾しています。

◇◇◇

横浜にある卵料理専門店「鳥玉モザイクモール港北店」。この店のこだわりは─。

株式会社セカンドアロー・大須賀伸博社長「平飼いの卵を使用していまして」

この店では、ニワトリを地面に放して飼う「平飼い」の卵だけを使っています。この卵を巡って、いま、開かれている国際会議が大紛糾しています。いったい何が、問題になっているのでしょうか?

平飼いの卵を出荷している養鶏場を訪れると、鶏舎の中をニワトリが自由に動き回っています。

井上養鶏場・井上茂樹さん「(Q自然な行動をさせることで卵は変わる)もちろん変わります。ニワトリが健康でない限り、良い卵は絶対にできないと思っています」

産卵用の木箱の中に入った雌のニワトリ、卵が生まれました。生食にも対応するために洗浄、ブラッシング、殺菌を経て出荷。手間がかかるため10個で600円と高級品ですが、ヨーロッパなどではこの平飼いへの移行が進んでいます。

その波は、国内にも。大手家具店の「イケア」。レストランで提供されるチキンは平飼いの鳥。ガパオライスの半熟卵も平飼いのもの。世界の店舗で、平飼いへの切り替えを進めているのです。

イケア フードコマーシャルマネジャー・橋本遼典さん「イケアで扱うすべての動物について、より持続可能な社会の実現に、貢献していきたいと考えています」

背景にあるのが、家畜を健康的な環境で育てるアニマルウェルフェア(動物福祉)の考え方です。

    ◇

24日に始まった動物に関する国際会議でも、このアニマルウェルフェアへの取り組みが焦点になりました。

会議では、ニワトリが動けないバタリーケージと呼ばれるケージでの飼育などを規制しようというヨーロッパに、南米やインドなどが反発。ニワトリのストレスを和らげる飼育方法の基準作りについて意見集約ができず、28日に投票で決めるという異例の事態になっているのです。

今回はケージ飼いを禁止するものではないため、日本政府は賛成の立場ですが、EUを中心に平飼いを推奨する流れに、国内の養鶏業界からは─。

日本養鶏協会・浅木仁志専務理事「ケージ飼いから平飼いにした場合、同じ羽数を飼育するのであれば、鶏舎自体で4倍ぐらいの面積が必要となる」

切り替えのコストなどを考えると、現実的ではないとしています

    ◇◇◇

動物福祉と畜産のあり方について専門家は、消費者が選ぶ際に考えることも大事だといいます。

麻布大学獣医学部・大木茂教授「養鶏というのは、消費者はほとんど飼育過程を見ることができないと思う。消費者が表示をよく見ながら、生産のことをよく理解して買うようにしていけば、企業側も平飼いに取り組んでいくことになるのかな、と思っています」