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新種発見! 「水陸両棲」の巨大ムカデ

2021年5月1日 16:00
新種発見! 「水陸両棲」の巨大ムカデ

沖縄県の深い森で目撃情報があった、不思議な色のオオムカデ。遺伝子解析を経て、新種であることが明らかになりました。

■長さ20cm!翡翠色のオオムカデ
今回見つかったオオムカデは青緑に近い翡翠色の体で、体長はおよそ20cm。これは、日本に生息するムカデの種としては最大のもの。大人の親指ほどの太さがあります。「リュウジンオオムカデ(琉神大百足)」と名付けられました。命名の由来は、発見場所となった沖縄県に古くから伝わる伝承。海に住む「龍神」はムカデを恐れているとされており、船にムカデの旗を掲げることで船旅の安全を祈るという風習があったそうです。

■水陸両棲“ハイブリッド”のユニークさ
このオオムカデが珍しいのは、その大きさだけではありません。目撃情報などから、身の危険を感じると水の中に逃げ込み、じっと身を隠す習性があることが分かったのです。エビなど水中の生物を補食している姿も確認されました。

水の中にもすむことができるオオムカデは珍しく、世界で3例目だということです。

■143年ぶりの新種発見
地元では以前から目撃情報があり、その存在は知られていました。そこで、このオオムカデを新種として正式に登録しようという専門家たちがチームを結成。研究が始まりました。

研究チームは捕獲した個体の遺伝子解析を行いました。すると、複数の遺伝子領域で他の種とは明らかに異なるところが見つかり、見た目だけではなく遺伝子の面からも正真正銘の新種であることが確認されたということです。

また、研究チームは生息地についても調査。沖縄本島のほか、久米島、西表・石垣島、渡嘉敷島、そして台湾にも生息していることが分かりました。こうした研究を経て、今回、正式な登録が実現。日本からオオムカデ属の新種が登録されるのは143年ぶりだということです。

■毒あご注意!「遠くから見守って」
ユニークなリュウジンオオムカデ。普段は森の中の水辺にいて、私たちの前に出てくることはなさそうです。しかし万が一、リュウジンオオムカデに出会うことがあったら、むやみに触れてはいけません。毒あごを持っているため人間が噛まれると、大変危険だということです。

研究チームでは、「これほど巨大なオオムカデの新種がいま発見されたということは、沖縄に未知の生物がまだ数多く存在することの証拠だ。生態系の保全の必要性を改めて感じた」と話し、「毒の危険もあるので、遠くから見守ってほしい」と呼びかけています。

※写真は、塚本勝也さん(フリーカメラマン)撮影の「沖縄本島やんばる地域産のリュウジンオオムカデ」