働き方「週休3日」導入の現場は?給料は?
自民党で週休3日制を後押しする提言をとりまとめる議論が行われました。実際に導入した企業を取材すると、課題も見えてきました。
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■3年前に週休3日制度を導入した企業
長野県松本市。清涼飲料水を製造するこちらの企業は、3年前に週休3日制度を導入しました。工場スタッフ全員が1日10時間働くことで3日休むシフトを維持しています。
入社2年目の平山さん。
信州ビバレッジ・平山大地さん(19)「休みが多いというところが(会社選びの)ポイントになっていきました」
会社を選ぶ決め手のひとつが週休3日だったという平山さん。休みの日には、高校時代にのめりこんだロードバイクに乗り、大会をめざしてトレーニングに励んでいます。
平山さん「休みが2日よりも3日の方が自転車乗った後の休息もできるので」
自分の好きなことに打ち込むことで生活も充実しているといいます。
工場のチームリーダーの大久保さんは、休みを家族との時間にあてています。子どもたちと一緒に宿題をしたり、月に何度かは子どもたちと夕食を作ったり。
信州ビバレッジ・大久保裕仁さん(41)「タネを作っておいたんでギョーザ包もうよ」
長女「破けた」
大久保さん「いいよいいよ破けても」
長女「きょうねバドミントンをやったの」
大久保さん「昼休みにやったの?」
家事も楽しんでいるという大久保さん。
大久保さんの妻「もともと(家事を)やってくれていたので、それがさらに手伝ってくれるので、私はすごく助かっています」
週休3日にしても給料は変えないとした会社の判断について大久保さんは――
大久保さん「『今までの給料はちゃんと保証しましょう』ということで、『うちで長く働いてください』という、従業員への愛みたいなものを感じるのかなと思う」
■週休3日を選べる企業は8%程度 仕組みは様々
厚生労働省の調査(約6400社への調査)によると、社員が週休3日を選べる制度を導入している企業は8.3%。1日の勤務時間を増やさないかわりに、減った勤務時間の分だけ給料が減る企業。1日の勤務時間を増やして給料は減らさない企業、仕組みは様々です。
民間の動きが活発になる中、20日、自民党では、制度の導入に向けた提言を議論。政府も後押しするための費用を予算に組み込むか検討する方針です。
■導入したが、つまずいた企業も
ただ、週休3日を導入したものの、つまずいた企業もあります。東京都内の不動産会社。2019年に週休3日制度を営業部門に導入しました。
TOKYO BIG HOUSE・菊田寛康社長「この週休3日が成功するしないは、みんなの生産性次第だということは(社員に)話しましたね」
1日の勤務時間は増やさず、給料も据え置きました。しかし…
菊田社長「この緑の線が前年ですね。昨対(前年比)から考えるとイマイチというところ」
週休3日導入後の営業成績を示す赤のライン。緑の前年からおよそ4割も落ち込んだのです。その理由について若手社員からはこんな声が――
TOKYO BIG HOUSE・営業職の若手社員「従業員ごとに休みも違ったので、なかなかコミュニケーションがとりづらくなってしまったり、ちょっと怠けてしまった感じはありましたね」
生産性を上げるという意識改革が十分に浸透せず、去年週休2日に戻しました。ただ、入社希望者が増えるなどのメリットもあるため再び導入に向けた取り組みも進めるといいます。
菊田社長「トライアンドエラーを繰り返しながら何度か挑戦して、定着させていくものじゃないかなと」