×

「本当の正念場」拡大兆候捉える新指標検討

2021年4月9日 20:50
「本当の正念場」拡大兆候捉える新指標検討

新型コロナウイルスの感染状況の悪化を受け、政府は『まん延防止等重点措置』を東京などにも適用することを9日夜、正式決定しました。専門家からは「本当の正念場」と危機感が叫ばれる中、感染拡大の傾向をいち早く捉えるため新たな指標も検討されています。

     ◇

■東京の新規感染者数 前週を9日連続で上回る

9日、東京では新たに537人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。500人を超えるのは3日連続で、前週の同じ曜日の新規感染者数を9日連続で上回っています。


■東京・京都・沖縄に『まん延防止等重点措置』

各地で感染が拡大する中、政府は『まん延防止等重点措置』の対象地域を拡大しました。5日から大阪・兵庫・宮城の3府県に初めて適用されていますが、これに加えて、東京・京都・沖縄にも適用することで専門家から了承され、9日夜に正式決定しました。期間や対象の地域は、都府県ごとに異なっています。

東京では、期間は12日から5月11日までの1か月間。対象地域は23区と武蔵野、立川、八王子、町田、調布、府中の6市です。感染者数や店の数などを総合的に考えて決めたということです。

京都と沖縄もスタートは同じで12日からとなりますが、終わりは5月5日までの予定です。対象地域は、京都府は京都市。沖縄県は那覇市など9市です。

加藤官房長官によりますと、京都は、同じ関西圏の大阪・兵庫の期間と合わせて5月5日までとしたということです。沖縄は、すでに県独自の時短要請を行っているので、短期集中的に対策を実施するとして5月5日までとなりました。東京は、今の感染状況を鑑みると徹底した対策が求められるとして、1か月間とされました。


■『まん延防止等重点措置』で生活はどう変わる?

『まん延防止等重点措置』が適用された地域では、住民に対して、日中を含めた不要不急の外出自粛(特に夜間)や、不要不急の都道府県間の移動も極力控えることが求められます。

また、飲食店に対しては、知事が夜8時までの時短の要請や命令ができ、命令に従わない場合は20万円以下の過料を科すことができます。例えば、東京では4月21日まで夜9時までの時短要請が出されていますが、『まん延防止等重点措置』の対象となった23区や八王子市など6市では、再度、夜8時までの時短要請となります。

まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言と異なり、地域を絞ってピンポイントで対策が強化できることが特徴です。9日朝に開かれた政府分科会の出席者は、この措置の意味合いを次のように強調しました。

全国知事会・飯泉会長「タイムリーに打っていくことが非常に重要だと。そこが緊急事態宣言に比べると小回りがきいて、ピンポイントに強い措置が何度でも打てる。そして経済のダメージ、雇用のダメージを最小限に食いとどめることができる」

日本医師会・釜萢敏常任理事「これまでに経験したことないステージに入っていると思います。変異株のこともありますが、感染拡大の状況は今後大きく懸念されることなので、そのことを踏まえて、これまでと違った対応をしないととても乗り切れないだろうという大変強い危機感を持っています」


■措置が適用される都府県の感染状況

まん延防止等重点措置が適用される都府県の感染状況を具体的に見てみます。東京は、病床使用率など多くの指標が『ステージ3相当』となっており、10万人あたりの療養者数は最も深刻な警戒レベルを示す『ステージ4相当』となっています。

京都も『ステージ3相当』の指標が多く、沖縄は、病床使用率や10万人あたりの療養者数などが、最も深刻な警戒レベルを示す『ステージ4相当』となっています。


■「夜のレジャー目的人口」など新指標を検討

こうした指標は感染状況などを把握するために去年8月に作られたものですが、政府分科会の尾身会長は「国、自治体、専門家の間で、指標の活用や判断の認識が必ずしも共有されなかった」として、これまでの経験やデータの蓄積を生かして新たな指標を導入する案を示し、8日夜の分科会で大筋で合意されました。


新しい指標の案では、これまであった感染者数の前週比がなくなり、病床のひっ迫具合の中に新たに『入院率』が加わります。これは、コロナで陽性となり、病院、自宅、宿泊施設で療養している人のうち実際にどれだけの人が入院しているかを表す割合です。入院率40%以下でステージ3、25%以下でステージ4となります。この数字が小さいほど取りこぼされている人が多い可能性があり、それだけ医療のひっ迫を表していることになります。

新指標のほかにも、感染拡大の兆候をいち早くつかんで対策を打つために、注視すべき項目が示されました。例えば、年代別の新規感染者数です。感染拡大の初期には、まず若い人から増える傾向があることがわかったためです。

歓楽街の夜のレジャー目的の人口も、注目すべき項目として示されました。つまり、夜に遊びに出ている人の数です。夜遅くなるほど、マスクをしないなど感染リスクの高い行動が増えることがこれまでのデータなどから分かってきたので、兆候を察知するための参考指標として検討されています。

     ◇

東京では緊急事態宣言の解除からわずか3週間で、再び経済への痛みを伴う『まん延防止等重点措置』が適用されることになりました。コロナ疲れやコロナ慣れも指摘される中、「またか」という気持ちは誰にでもあるかと思いますが、この措置の最大の特徴はピンポイントで素早く機動的に感染拡大の芽を摘むことです。感染爆発を防げるかどうか、今まさに瀬戸際にあるという危機感を、改めて肝に銘じたいと思います。

(2021年4月9日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)