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コロナ影響で“男女格差”広がる ナゼ?

2021年3月31日 20:32
コロナ影響で“男女格差”広がる ナゼ?

新型コロナウイルスが、男女の格差にも影響しているという発表がありました。また、日本の男女格差は大きく、156か国中120位との発表も。なぜ日本の順位はこんなにも低いのか。背景に何があるのか解説します。


■男女格差の大きい国「日本」 156か国中で120位

世界経済フォーラムは31日、男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数を発表しました。ランキングでは、156か国中、最も男女平等に近いとされたのはアイスランドでした。アイスランドは12回連続の1位で、男女平等の優等生と言われています。

続いて、2位がフィンランド、3位がノルウェー。4位のニュージーランドでは女性首相が活躍しています。北欧の国が上位を占めている状況です。

アメリカは30位。前回は53位だったので大きく順位を上げました。バイデン政権で女性閣僚が増えたことも一因とみられます。

アジア圏では、韓国が102位、中国が107位、日本はアンゴラの次の120位です。前回2019年末の発表では121位でした。ひとつ順位は上がりましたが、先進国では最下位、東アジア・太平洋地域でも最下位となっています。依然として、日本は男女格差が大きい国と分析されてしまいました。

■世界で男女格差が広がる コロナ影響

実は、今回の発表は、コロナの感染拡大後初めて出されるものだったので、どのような影響があるのか注目されていました。

世界全体で男女の完全平等を達成するには、前回は99年かかると言われていたのですが、今回は135年と大幅に後退しました。世界でも男女格差を小さくする努力がされてきましたが、コロナの影響で格差は広がったと分析されました。


理由として、コロナの影響で職を失った人の割合が女性の方が高いという点が指摘されています。コロナによる打撃が特に大きかったのが宿泊や飲食などの分野ですが、こうした職種では女性が働く割合が高いです。一方で、IT関連などコロナによる悪影響を受けにくい業種では男性の割合が高く、これが男女の格差を広げる要因となったと分析されています。

■“コロナ格差” 日本ならではの事情も

この傾向は日本でもみられています。総務省の労働力調査によりますと、コロナの影響が出始めていた2020年の3月から新年度の4月で、男性の雇用者数が35万人減ったのに対し、女性は74万人の減少でした。

女性が2倍以上だった理由は、世界における例で見たように打撃を受けた宿泊や飲食の分野で女性の働き手が多いということもありますが、日本の場合は、ほかにも原因があります。女性の『非正規雇用者』が多いためです。コロナで経営が悪化したことによる雇い止めなども問題になっています。また、コロナと最前線で向き合う医療従事者は、女性の割合が多いにもかかわらず、女性が不平等な扱いを受けて苦しんでいることが浮き彫りになっています。

■日本“男女格差” ナゼ大きい?

日本の男女格差の総合順位は、156か国中で120位でした。なぜ、日本の順位はこれほどまでに低いのでしょうか。

評価は「教育」「健康」「経済」「政治」の4分野から行われています。日本は、教育では「92位」、健康は「65位」、経済は「117位」。教育と健康はともかく、「経済」の評価が良くありません。これは経営層や管理職に女性が少ないためです。そして、特に足を引っ張っているのが政治で、「147位」となっています。

政治分野は、さらに3つの指標で評価されています。国会議員(衆議院)の女性割合「9.9%」、閣僚の女性割合「10%」、過去50年間の女性首相の数「0人」。

31日の発表を国としてどう受け止めるか、加藤官房長官は次のように述べています。

「相対的に我が国の取り組みが遅れているということを示しているものだと思います。政治分野における女性の活躍の拡大、これに取り組んでいきたいと考えています」

日本が順位を上げるには「政治」がカギになります。まずは女性議員を増やしていくことです。他の国は、さまざまな制度を導入して女性議員を増やしてきています。国の本気度が問われています。

■コロナ禍で目立った女性リーダーの活躍

世界においては、女性リーダーの活躍が着実に目立ち始めています。コロナ禍では、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統、ドイツのメルケル首相など、女性リーダーが、専門家の意見をきいて、客観的データから政策を考えて、国民に訴えかける姿勢が目立ったように思います。女性が持つ対話をする力や、連帯や共感を示す特徴や能力が生かされたといえそうです。

また、アーダーン首相は首相就任後に出産し、産休も取りました。それが国民にも受け入れられていて、女性の社会進出へ向けての大きな希望となりました。

ジェンダーの問題はとても身近ですが、解決が難しい問題でもあります。幼いころからの無意識のバイアスや固定観念があるからです。。今回のランキングや、コロナの影響をきっかけに、身近な人と対話してほしいと思います。それが気づきとなり、平等への道筋になります。。

(2021年3月31日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)