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北朝鮮“国境封鎖”から1年…国境の街取材

2021年3月29日 18:39
北朝鮮“国境封鎖”から1年…国境の街取材

29日、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を正当化し、国連の安全保障理事会が会合を開くことに反発しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、およそ1年にわたり国境を封鎖していますが、中国との国境地帯を取材すると、ある変化がみえてきました。

北朝鮮がミサイルを発射した翌日、26日の中国・丹東。北朝鮮と国境を接する街です。

「この川の向こう側が北朝鮮です、このあたりは工業地帯ということですが、煙突から煙は出ておらず、稼働していないように見受けられます」

目の前には古びた家屋と、そこで暮らす住民らしき姿も。

北朝鮮は、去年から国境を封鎖。新型コロナウイルスの流入を強く警戒しています。

「あちらも見張り台があって、軍人ですね、軍人がたっています。こっち見ている?双眼鏡使っている?」

厳しく光る監視の目。中朝国境を流れる川を運航する観光船の運営業者によりますと、今年1月には、北朝鮮に近づいた中国の漁師が兵士に射殺されたといいます。

私たちが乗った観光船も、以前より北朝鮮側に近づかないようになっていました。

国境封鎖により、去年の中朝間の貿易総額は、8割以上減少したとされます。

街の倉庫街へ行くと。

「多くの物資が、倉庫に積まれています。これすべてが、北朝鮮への輸出を待っている状態だということです」

倉庫に積み上がっていたのは、北朝鮮に輸出するはずの「布」や「化学製品」など。すでに1年以上出荷を待っているのか、大量のホコリをかぶっています。

中には…。

「キティちゃんでしょうか、ハローキティちゃんの棚が置かれています」

日本のキャラクターが描かれた商品もありました。

取材を進めると、大きな変化の兆しが。

中朝貿易業者「聞いた話では、国境は4月2日から15日までに開くらしい」

北朝鮮の政府関係者から、4月15日までに物流が再開する可能性があると聞いたといいます。これを見越し、北朝鮮からすでに複数の注文も。

中朝貿易業者「北朝鮮は13か月も物資が入っていなかったから、食料不足で飢え死にした人も出たという」

中国の習近平国家主席は、先週、北朝鮮の金正恩総書記へのメッセージで、「両国の人民に、より立派な生活を与える用意がある」と、北朝鮮への支援を強める姿勢を示しました。

この発言も、物流の再開を見越したものなのでしょうか。

さらに、両国の間には新たな別の動きが。

「見えてきました。中国と北朝鮮を結ぶ新しい橋です」

2014年にはほぼ完成したとされる、中朝を結ぶ新しい橋。両国関係が一時冷え込み、開通が延期されていましたが…。

私たちが取材した際、橋の近くでは何やら大掛かりな工事が進められていました。

工事関係者「丹東で一番大きい遊園地を作る。屋外型の映画館も作っているし、車での宿泊場所も作っている。(橋は)7月か8月頃に開通する計画だよ」

再び結びつきを強める中国と北朝鮮。対立が続くアメリカのバイデン政権に対抗する狙いもあるとみられます。