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協力金の条件に『コロナ対策リーダー』東京

2021年3月19日 20:26
協力金の条件に『コロナ対策リーダー』東京

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう首都圏の緊急事態宣言は21日で解除されますが、リバウンドを防ぐためには、一気に経済活動を戻すのではなく、少しずつ戻していくことが重要です。東京都などが呼びかけている『段階的緩和』について解説します。

■既に解除の大阪は感染増加…宮城は独自の宣言
 
19日、東京都で新たに新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは303人でした。18日は10日ぶりに1週間前の感染者数を下回り、19日も引き続き下回りました。
そんな中、21日をもって緊急事態宣言が解除されますが、日に日に暖かくなる季節とも重なることから、人出の増加によるリバウンドが懸念されます。
 
首都圏より先に緊急事態宣言が解除された地域の新規感染者数はどのように変化したのか、先月28日に解除された大阪と兵庫を見てみます。

大阪では、人口10万人あたりの1週間の新規感染者数が、今月2日時点では5.46人まで減っていましたが、その後、徐々に増えて、18日時点では8.67人まで上昇しています。兵庫も同様の傾向を示しています。
 
一方、感染者が急増したことを受け、新たに独自の緊急事態宣言を出す県もあります。宮城県では18日、県と仙台市独自の緊急事態宣言を出しました。一日あたりの新規感染者数は17日、過去最多となる107人を記録、18日は98人でした。
直近1週間における人口10万人あたりの感染者数でみても、宮城県は東京都を上回って全国で最多となっています(※3月11日~17日 宮城16.7人、東京15.0人)。

原因の一つには『飲食』が考えられます。宮城県では、2月23日に『GoToイート』キャンペーンを再開したところ、3月に入って感染者が急増してしまいました。これを受けて県は今週16日に『GoToイート』の販売を停止。来月11日まで独自の緊急事態宣言を出し、県全域で不要不急の外出や移動をしないよう求めています。

飲食店などを中心にどう経済活動を再開していくのかが、今後のリバウンドを抑えるための重要なカギを握っています。

■経済活動 ゆっくり戻した方がダメージ抑制と試算
 
そんな中、19日、経済活動の再開に関する興味深いシミュレーションが発表されました。東京大学大学院・経済学研究科の仲田准教授と藤井特任講師によるシミュレーションです。

21日に東京都で緊急事態宣言が解除された後、経済活動をどれくらい時間をかけて戻していくかによって、東京都の新規感染者数がどのように変化するかを試算したものです。

まず、宣言解除後、4週間かけて経済活動を戻した場合、5月の第2週には再び一日あたりの新規感染者数が1300人を超えてしまうという試算です。そこで3回目の緊急事態宣言が出されて経済を再び止めると、感染者が減っていくという想定です。この場合、経済的なダメージは非常に大きくなります。

一方、宣言解除後、8週間かけてゆっくりと経済活動を戻した場合、新規感染者数は7月初旬くらいに一日1200人程度まで増えますが、その辺りからワクチン接種の効果が出てきて、緊急事態宣言を出さなくても新規感染者数は自然に減っていくという試算になっています。この場合、経済をフルに動かしながら感染者も減らしていけるという想定です。

このシミュレーションではワクチン接種について、5月後半には高齢者を中心に週300万回のペースで接種をしている想定で、その場合、9月末までには高齢者の8割は接種が終わっていることになります。

政府の見通しでは、5月には週およそ1000万回分が供給される見込みです。そのペースで接種が進めば、もう少し感染者数を抑えられる可能性もありますが、実際どうなるかは見通せない部分もあります。

このシミュレーションから分かることは、経済活動を早くもとに戻すよりも、ゆっくりと段階的に戻していく方が、結果的には経済的なダメージも大幅に抑えられる可能性が高いということです。

■東京都 協力金の条件に『コロナ対策リーダー』
 
急激な経済活動の再開には東京都なども警戒感を示しています。小池都知事は、緊急事態宣言は解除されるものの、3月末までは『リバウンド防止期間』として、対策を徹底してほしいと呼びかけました。
 
宣言解除後も、今月31日までは『段階的緩和』期間として、引き続き不要不急の外出自粛を呼びかけ、飲食店などに対しては夜9時までの時短営業に加え、酒類の提供は夜8時までとするように要請します。協力した店舗には一日あたり4万円を支給しますが、新たな条件として、飲食店では感染対策を担う『コロナ対策リーダー』を登録する必要があります。
 
コロナ対策リーダーとは、店舗ごとに、店長など責任者を決めて登録して、店内の感染防止策を徹底するというものです。
例えば、客がマスクをせずに長時間会話しているような場合は、リーダーが「お客様、会話の時はマスクをしてください」とか、「盛り上がっているところ恐縮ですが」などと呼びかけて、客にも感染対策マナーを促していくことが求められます。
リーダーは、都の研修やテストを受けるとシールが発行されて、虹のステッカーに貼るようになっています。利用する客側も理解し、こころよく協力していきたいものです。

2か月半にも及んだ緊急事態宣言の期間がようやく解除されますが、すぐにリバウンドして3回目の緊急事態宣言などということにならないよう、これからの数週間をどう過ごすのかが重要です。

(2021年3月19日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)