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コロナ失業の元ホスト 困窮と職探しの日々

2021年3月18日 10:21
コロナ失業の元ホスト 困窮と職探しの日々

コロナによる解雇や雇い止めに遭った人が10万人に迫ろうとしています。生活保護の申請も4か月連続で増加。雇用はより厳しくなり、緊急事態宣言長期化で支援を求める人も増えています。コロナで失業して食費を削り、職を探す元ホストの男性を追いました。


■元職場は歌舞伎町 今は炊き出しへ

新宿・歌舞伎町を歩く鈴木さん(仮名・37)は、かつてここでホストとして働いていました。内装工事をしている現場を見て「おおー、懐かしい!」と声を上げました。

働いていた店は去年4月、緊急事態宣言で休業し、仕事を失いました。今はNPO法人による炊き出しに通い、提供された食事を数回に分けて食べ、食費を切り詰めて仕事を探す日々を送っています。

鈴木さん
「募集している件数がちょっと少ないんじゃないのかなって(思います)。ギリギリ貯蓄があったので、それを取り崩しながらって感じなんですけど、20万円は切って、あともう10万円ちょっとです」


■意外な光熱費の節約法 日課は…

自治体からの給付金で家賃の大半をまかなっていますが、それでも光熱費や携帯代など合わせて月に1万円ほどの出費があるといいます。そのため、意外な方法で光熱費を節約していました。

鈴木さん
「懸垂ですね。基本的に家で冷暖房とか使わない。(光熱費を)1円でも節約したいなって(思っています)」
懸垂が日課で、体を温めてから眠りについています。

鈴木さん
「朝もう起きなくてもいいんじゃないのかなって考えが巡ってくるんですよね。『え、だってお前、もう職場もないでしょう』って。動かなくてもいいんじゃねえのかなって。ってことは別に生きなくてもいいんじゃねえのかなって(思ってしまいます)」


■解雇・雇い止め 9万5000人超

厚生労働省によると、全国の生活保護の申請件数は、去年12月に1万7308件。増加の傾向にあり、4か月連続で前年の同じ月を上回っています。

また厚労省は16日、コロナを理由に解雇・雇い止めなどとなった労働者が見込みを含めて9万5000人を超え、9万5925人(3月12日現在)になったと発表しました。3月だけで5000人以上増加しています。

影響は鈴木さんの通うハローワークにも及んでいます。

建物から出た鈴木さんは「混んでいましたね。緊急事態宣言が出ているから、もしかしたら面接なども先延ばしになっちゃっているのかなと(思いました)。仕事、やっぱり数少ないんですけど、思いっきり環境を変えて、清掃関係の方を(探します)」

厳しさを増す求人。鈴木さんは希望の接客業をあきらめ、なんとか仕事を見つけようと模索しています。


■支援団体「あらゆる産業にダメージ」

緊急事態宣言の長期化で、支援を求める人も増えているといいます。

認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長は、「若い方、20代の方もいれば30代、40代、50代とそれぞれいるし、女性の相談も多いです。あらゆる産業にダメージが来ているのかなと(思います)。リーマンショックの時は、午後8時にお店が閉まることはなかったので。公的な支援を整えてほしいというのは、(要望として)間違いなくありますね」と訴えます。

(3月17日『news zero』より)