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「買いだめが心配」 小麦粉“値上がり”へ

2021年3月11日 20:05
「買いだめが心配」 小麦粉“値上がり”へ

小麦粉を使うパンや麺類など、食卓にも影響がでてきそうです。政府が製粉会社などに売り渡す輸入小麦の価格が来月、1年ぶりに引き上げられます。スーパーなどでは早くも心配する声が聞かれました。

厨房(ちゅうぼう)は常に慌ただしく、リピーターも多いという都内にある人気のベーカリー。看板商品が、外はカリッカリで中はモッチモチ食感。そして、ほんのり“しょっぱさ”がやみつきの「塩パン」です。

多い日には6000個も売れ、生地に使う「小麦粉」は1日200キロほど。

塩パン屋パン・メゾン 平田克武代表「(小麦粉が)値上がりしてしまうと、原材料費もすごく高くなってしまうので、苦慮しているところですね」

日本で消費されるおよそ9割を占めるのが、この「輸入小麦」ですが、政府は製粉会社などへ売り渡す価格を、来月から5.5%引き上げると発表。1年ぶりとなる値上げの影響を心配しているのです。

うどんやパスタの原材料、ハンバーグやお菓子など、食卓には欠かせない小麦粉。去年の緊急事態宣言の頃は、スーパーで売り切れが相次ぎ、信濃屋食品では、今も例年の1.5倍ほどの売り上げを維持しているといいます。そのため、心配しているのが…。

信濃屋食品営業本部長・鈴木誠さん「“買いだめ需要”で小麦粉がまるっきりなくなってしまうふうなパニックになってしまうのが(心配)。使う分だけ購入していただければと思いますね」

一方で、意外な影響も――。

業務用の小麦粉を専門に扱う卸会社。輸入品以外に国産の小麦粉を取り扱っています。そもそも今回の値上がりは、中国がアメリカやカナダから小麦の買い付けを増やしたことが要因の1つです。

小宮商店営業部・丸山健太さん「外国産の小麦(粉)につられて値上がりというのも、国産小麦には考えられると思います」

仮に需給バランスが崩れた場合、国産の小麦粉の価格にも影響を及ぼす可能性があるというのです。

“二重の打撃”に悲鳴を上げるところも。

そびえ立つ大ぶりのエビなど、旬の食材が丼の中で1つに。ボリューム満点の天丼が名物の天ぷら店です。自社で開発した天ぷら粉の中には、たくさんの小麦粉を使っている上、この春、食用油が値上がり。仕入れの負担がさらに増えてしまうのです。

天麩羅秋光・谷原秋光さん「油と小麦粉は必須なんですよね。命みたいなものなので、上がるとなるとキツイ」

卸会社によりますと、家庭用の小麦粉は、夏前までに値上がりとなる可能性も。パンや麺類など値上げの連鎖も心配されます。