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戦没者遺骨が埋め立て土砂に?抗議ハンスト

2021年3月8日 14:13
戦没者遺骨が埋め立て土砂に?抗議ハンスト

アメリカ軍普天間基地の移設に向け、沖縄では海の埋め立て工事が続いています。この埋め立てに沖縄戦の犠牲者の遺骨が混入した土砂が使われるのではと、いま懸念の声が上がっています。


■遺骨収集40年近く…67歳でハンスト

 「世の中に間違ってると断言できることって、そんなにたくさんはないんですけど、これは絶対、間違ってます」

沖縄で3月1日から、飲み物以外の食べ物を口にせず抗議の意思を示すハンガーストライキを始めた男性がいます。具志堅隆松さん、67歳。

具志堅さんは40年近く、戦没者の遺骨を収集するボランティアを続けています。76年前、激しい地上戦が行われた沖縄では、いまだ地中に、住民のみならず日本兵らの遺骨も眠ったままです。

2015年、私たちが具志堅さんの活動を取材したときは……

 「名前があるものが出てきてくれたらいいけどね」

戦火に散り、ふるさとに帰るあてもなかった遺骨を掘り起こし、その一部を遺族に届けることもできました。


■遺骨の尊厳守るため…ハンストの思い

今回、具志堅さんにハンストを始めた理由を聞くと……

 「沖縄戦の犠牲者の遺骨の尊厳を守るためです。戦没者を埋め立てにしたくはありません。これは間違っています」

普天間基地の移設先とされる名護市辺野古では埋め立てが続いています。その埋め立て用の土砂を当初、主に県外から調達するとしていた国は、去年、沖縄の全域からも採取する計画に変更しました。計画には沖縄戦、最後の激戦地である本島南部も含まれていたのです。


■“計画地”には…いまも遺骨「戦没者への冒涜」

2月、具志堅さんが向かったのは、その採石場が計画される場所です。近くのガマとよばれる自然洞窟では、戦没者の遺品が見つかります。

 「これはボタン。軍服のボタン」「ここにも遺骨があるんですよ」

掘れば遺骨も出てくるといいます。

国の計画では、この周辺で採取された土砂も埋め立てに使われる可能性があります。

 「もうここは遺骨収集終わりました。あと土砂を搬出してもいいですよって言ったとしたら、冗談じゃない。まだ捜しきれない遺骨が混ざってるんだよって話で」

具志堅さんは、遺骨が混入した土砂が埋め立てられアメリカの基地として使われたら「戦没者への冒涜」になると訴え、国に、本島南部からの土砂採取の断念を求めています。


■2月も8体の遺骨が…国は「適切に対応」

実は、南部では2月下旬にも別のボランティアが子どもを含む8体の遺骨を発見しています。

一方、国は「南部からの土砂を使うかは決まっていない」「仮に遺骨が見つかっても適切な対応がとられる」としています。

今月6日、6日間のハンスト最終日を迎えました。

 「残り数時間なので、どうにか頑張りたいと思っています」

具志堅さんの思いは、届くのでしょうか。