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韓国・国防白書 日本は「隣国」狙いは?

2021年2月10日 14:18

2日に公表された韓国の新たな国防白書は日本を「隣国」と表現し、前回の「パートナー」から表現が後退しました。

一方、新たな外交白書では、日本を「我々の一番近い隣国」とし、表現が前進しています。韓国政府の狙いは、また対北朝鮮政策に変化はあるのか、ソウルの河中春樹特派員に聞きました。


●国防白書について、韓国内での受け止めは?

A)韓国メディアは、日本を「パートナー」でなく「隣国」と表現したことは、悪化の一途をたどる日韓関係を端的にあらわしているなどと指摘してます。

一方で、韓国では国防白書が発表された3日後の今月5日には、外交白書が発表されました。

外交白書と国防白書では、日本についての表現の変化が対照的だったんです。

外交白書では日本について「東北アジア及び世界の平和と繁栄のためにも共に協力していくべき我々の一番近い隣国」と表現しました。

前回の外交白書では、同じ文脈の中で「隣国」とだけ表現をしていましたが、ことしは「我々の一番近い隣国」となり表現が前進しているわけです。

これにはアメリカのバイデン政権が念頭にあると言えます。

先日行われた、バイデン大統領と文在寅大統領の電話会談でも、日韓関係の改善と日米韓3か国の協力の重要性を確認しています。

実際、文大統領からも日本への歩み寄りとも取れる発言も増えてきていて、このような意思が反映されたとみられます。

ただ、外交と国防では日本への向き合い方が異なっているわけです。

この点について韓国メディアは、外交では関係改善を示しながらも、国防では一定水準の強硬姿勢を見せる両面戦略を使っている可能性もあると伝えています。

ただ、「明確な基準を示していない」「省庁間で内部調整もできていない」と韓国政府を批判するメディアもあります。


●対北朝鮮はどうでしょうか?

A)国防白書では北朝鮮については前回と同様に「敵」という表現は使っておらず、文政権としては北朝鮮への刺激を避けて南北の対話再開を模索したいものとみられます。

ただ、前回の国防白書が発表された2年前は南北会談や米朝会談が行われたあとで融和の機運が高まったときでした。

現在は米朝交渉は事実上決裂して状況が変わっているにもかかわらず、前後の文脈も含めて表現が変わっていないため批判の声もあがっています。


●対北朝鮮をめぐっては、例年3月ごろに行われる米韓の合同演習の行方が注目されていますよね?

A)閣僚からも発言が出てきています。北朝鮮との窓口となっている統一相は「朝鮮半島に深刻なあつれきをもたらさないよう柔軟な対処を」と延期や規模の縮小が望ましいとの考えを示唆しました。

外相は「適切な水準の訓練は実施されるべき」で状況を考慮すべきとの認識です。

一方で、国防相は「計画通り実施する準備をしている」と明らかにしています。

このように合同演習についても政権内での考え方の違いが表面化しています。


2月9日放送『深層NEWS』より