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“緊急事態”10都府県で延長…いつ解除?

2021年2月3日 10:57
“緊急事態”10都府県で延長…いつ解除?

■延長に「不安」「早く収束して」
2日午後7時半すぎ、東京・新宿を訪ねました。新宿アルタ前では、モニターに政府の会見が映し出されています。人々の視線の先には菅首相がいました。

菅首相
「緊急事態宣言は、栃木県は2月7日で解除することとし、(10都府県は)3月7日まで1か月延長することを決定しました。全ての地域で緊急事態宣言を終えることができず、誠に申し訳なく思っております」

栃木を除く10都府県で、緊急事態宣言が1か月延長されることになりました。人々の受け止めは――。

東京都民・大学4年生(22)
「2月に卒業旅行に行こうと思ってて、でもそれを延期しようって3月に(予約を)取り直したんですけど、それもやっぱり(宣言)延長でキャンセルしたので、卒業旅行あきらめました。とりあえず早く収束してほしいなって思います」

観光客が激減している京都の土産物店では、店主から嘆きと苦悩が聞かれました。

「やっとトンネルの出口が見えたと思っていました。地獄のような毎日なんですよ」


■飲食店「まだ続くのか」「我慢」

大阪市にある串カツ店は、さっそく休業期限を「3月7日」に書き換えました。

串カツ店
「我慢、我慢、我慢、我慢の毎日...。もうしょうがない。頑張ります」

東京・港区のお好み焼き店では、店長が厳しい表情で首相の会見を見つめていました。

「また続くのかという感じですけどね。気分的にはつらいです。新年明けてそうそう」

宣言前と比べ、売り上げは8割減。一番の気がかりは、やはりお金のことだといいます。

――港区の新橋という土地柄はどうでしょうか?

店長
「いやもう、ほんとに駅から近いので家賃もすごいので、(1日6万円の協力金で)社員の人件費と家賃払ったら、もうかつかつですよね。6万円という額が足りすぎるところもあれば、全然足りないところもあると思うし、その辺の不公平感がなくなるといいなと。なんとか踏ん張りたいと思います」

この宣言中、休業していた神奈川県の飲食店を再び訪ねました。

代表
「これがボロネーゼのソースです。40日くらいは持つと思います。この温度に入れて(おけば)」

先週から、宣言解除を見越した準備が進められていて、営業再開に向けてすでに用意していたというソースを見せてくれました。ただ、宣言が延長となった今、相次いでいたのはキャンセルでした。

代表
「3月に向けて200名くらいの団体のキャンセルを昨日いただきました。キャンセルの嵐ですね。5月も6月も(キャンセルは)けっこう増えてきました」

――宣言延長、いかがですか?
代表
「やっぱり、悔しいですね」

店を再開するかどうか、悩んでいるといいます。

延長に伴い求められる、補償や支援。政府は、飲食店に出されている1日6万円の協力金についてはそのまま延長。また、収入が減った人に貸し付ける「総合支援資金」の限度額を上乗せすることなどを決めています。


■“延長”10都府県...解除のメドは

宣言解除のタイミングはいつになるのでしょうか。

菅首相「感染状況などが改善した都府県については、3月7日の期間満了を待たずに、順次宣言を解除してまいります」

首相は今回、期限を待たずに解除する方針を示しましたが、具体的な目安についても会見で触れました。

菅首相
「新規感染者数でいえば東京で1日500人、大阪で1日300人を下回ること。さらに、病床のひっ迫に改善がみられることが重要であります」

感染状況と医療体制が最も深刻な「ステージ4」から「ステージ3」になることを前提とした上で、専門家と話し合い、解除できるところから解除したいと話しました。

政府分科会の尾身会長
「感染の報告者数は間違いなく、少しずつ減っていると思います。一方、医療機関への負荷はまだまだ厳しい状況が続いています。1)感染の減少のスピードをさらに増すと同時に 2)病床の確保と医療従事者の確保、3)重症化対策の3本柱をやっていくことが必要と私は思っています」

解除の目安については、こう説明しました。

尾身茂会長
「(宣言を)解除しても、解除した後の感染レベルの水準が比較的低いことが維持できて、リバウンドする可能性が低い形での解除が、特に今は求められている」


■大阪と福岡では独自基準も

そして、大阪や福岡では解除についての独自の基準を設定しました。

大阪府の基準では、新規感染者数の平均が1週間連続で300人を下回るか、重症病床の使用率が1週間連続で60%を下回ること。福岡県の基準では、1)新規感染者数の平均が1週間連続で180人未満、2)最大確保病床の稼働率が50%未満、の両方を満たすこととしました。

新規感染者数と病床稼働率が基準を下回れば、政府に宣言の解除を求めるとしています。


■“解除”栃木「手放しで喜べない」

一方、宇都宮餃子が名物の栃木県。11都府県の中で唯一、宣言解除になりましたが、餃子の名店が集まる観光施設からは――。

宇都宮餃子会理事
「(解除されても)通常に戻れるかというと、そうではないと思っています。(今後も)自粛というスタンスは考えています」

政府は、宣言を解除しても「ステージ2」以下になるまで飲食店の時短営業を求めています。

栃木県・福田知事
「医療提供体制の負荷が手放しで解除を喜べるような状況にはなっていない。緩めることなく段階的な解除・緩和ということに尽きると思います」


■死者「最多」東京も...全国119人に

2日の全国の感染者は2324人。気になるのは死者数です。2日は119人の死亡が発表されていて、1日として過去最多になりました(いずれも2日午後10時半現在)。

東京の感染者数は5日連続で1000人を下回る556人でしたが、死者はこれまでで最も多い23人。千葉でも過去最多の14人が亡くなっています。

東京都・小池知事
「私自身、緊急事態宣言を本当に早く、1日も早く切り上げたい、その思いは皆さんと一緒です。卒業の季節であります。そして例年なら追い出しコンパ、謝恩会、いろんな行事が目白押しになる時期でありますけども、改めて、何度でも申し上げますけれども、集団での会食はウイルスを拡散する、またとないチャンスだと(ウイルスは)狙っています。今年はぜひ、なしで」


(2月2日『news zero』より)