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前市長 克行被告から“封筒差し込まれた”

2021年2月1日 18:02

元法務大臣・河井克行被告の公判が2月1日に行われ、広島県の天満祥典前三原市長と佐藤一直県議が証人として出廷。天満前市長は、克行被告からズボンとシャツの間に現金入りの封筒を差し込まれたと証言。一方、佐藤県議は、「寄付金なんだろうなと思っていました」と述べ、買収の認識はなかったとしました。

1日の裁判では、午前の法廷に、広島県の天満祥典前三原市長が証人として出廷。天満前市長は、2019年3月と6月の2回にわたり、克行被告からあわせて現金150万円を受け取ったことを認めました。

1回目は、2019年3月に三原市内のビルで克行被告と案里被告の2人に面会した際、帰り際に克行被告から封筒を渡されたと証言。

当時の状況について、案里被告は克行被告よりも先に部屋の外へ出ていたとし、「克行被告が私の方に近づいてこられました。いきなり左の内ポケットに封筒を入れられました」「やはり参議院選挙が間近にありますので、そのことについてご支援をしてくれということじゃなかったのかと思います」と述べました。

その上で、「不法なお金だと思いました。いきなり懐の中に入れられましたのでちょっとおかしいなという感じはしました」と話し、「困ります」と拒否するも克行被告から「よろしくです」と言われて受け取りを断ることができず、現金50万円を受け取ったと証言しました。

その後、2019年6月には、広島市内のホテルで克行被告と地元議員らと共に会食をした際、天満前市長が食事を終え先に帰ろうとすると、克行被告が天満前市長のズボンとシャツの間に封筒を差し込んできたと述べました。

天満前市長が拒否するも克行被告から「よろしく」と言われ断り切れなかったとし、ズボンとシャツの間に封筒を挟んだままタクシーに乗り込み、封筒の中を確認すると現金100万円が入っていたと証言しました。

天満前市長は、現金を受け取ったことについて、「受け取らなければよかったと思います」と述べ、克行被告に対しては、「早く真実を述べられて法の裁きを受けられたらと思います」と述べました。

午後の法廷には、佐藤一直県議が出廷。佐藤県議は、2019年6月、克行被告から「会いたい」と連絡を受け、案里被告の事務所で現金30万円を受け取ったと証言しました。

当時、克行被告から連絡を受けた時の状況について、佐藤県議は「案里被告の選挙が近づいていたのでその応援の話じゃないかなと思いました」と述べ、実際に事務所で克行被告と会った際には参院選の選挙情勢について話をしたと証言。

そして、克行被告から、紙袋に入った案里被告のポスターやリーフレットを渡され、さらに「これも」と封筒を差し出されたと述べました。

佐藤県議は、「その流れで渡されたので紙袋の中の物を配る活動の対価なんじゃないかと思いました」と話し、「こういうのもらわなくてもやりますから」と断ったとしましたが、克行被告から「これは当選祝いだから」と言われたと証言。その後も受け取りを断り続けると、「『もらってもらわないと困る』と声を荒らげて言われたので、これ以上怒らせても困ると思った」とし、現金30万円を受け取ったと述べました。

佐藤県議は現金について、「当選祝いも含めた寄付金なんだろうなと思っていました」「私自身は無所属だったので(案里被告と同じ自民党で同じ選挙区に擁立されていた)溝手さんを応援する義理も無かったので、それを渡されたからと言って買収だという思いはすぐに思いつかなかったです」と述べ、買収されたという認識はなかったとしました。

そして、佐藤県議は、誰からもお金を受け取らないというスタンスで政治活動を行っていたため受け取りを拒否したのであり、受け取ってしまった現金は案里被告への当選祝いとして返そうと思っていたと述べました。

また、検察側から、取り調べの調書の内容と証言が食い違っているとたびたび指摘される場面がありましたが、佐藤県議は取り調べ当時について、「当選祝いだろうなと思っていたんですが、検察の方から『そうじゃないだろ』と認めてもらえなかった」「『この時期に渡されたら選挙違反です』『その話は通らない』と言われ話が進まなかった」と証言し、法廷での証言が真実だとしました。

【公判を追う】河井夫妻・選挙違反事件克行被告公判(2月1日)