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高齢者の接種早くて4月1日

2021年1月28日 22:25
高齢者の接種早くて4月1日

■東京の感染者

28日、東京では新たに1064人の感染が確認され、再び1000人台となりました。ちょうど1週間前の木曜日(21日)の1471人からは減少しましたが、重症者は150人と医療現場では深刻な状態が続いています。

待ち望まれる日本国内でのワクチン接種に関して、河野ワクチン接種担当大臣は27日夜、「高齢者のワクチン接種が早くても4月1日以降になる。自治体にはそのような日程感で準備をしていただきたい」と話しました。

■ワクチン接種はいつ?

これまで国が示していたワクチン接種のスケジュールは

・2月下旬から医療従事者

・早くて3月下旬から高齢者

・5月下旬あたりに基礎疾患のある人など

それ以降にほかの国民の接種が始まるというものでしたが、河野大臣の発言は高齢者の接種が3月下旬から4月1日以降にずれ込む見通しを示したものです。
それを受けて、一般の人への接種もずれ込むかどうかは現時点では不透明です。

高齢者の接種が4月から始まった場合、6月の第3週までに終了すると想定されていますが、次の基礎疾患のある人への接種がいつ始まるのか、それが高齢者への接種終了を待つのか待たないのか、各自治体の体制によって変わってくるため、それ以降はわからないということです。

今回、河野大臣は「3月に施設をおさえたりする必要はないと申し上げたかった」と話していて、より明確な時期を示すことで準備を進めやすくする意図があったと思われます。

■ワクチン接種をめぐって新たな方針を打ち出した自治体も

こうした中、接種の「順番」をめぐって独自の取り組みを始めたのが、熊本県です。国が示しているワクチン接種の優先順位をより細かくみていくと、最初は医療従事者のほか、コロナ患者に接する救急隊員や保健所の職員などから始まります。2番目は65歳以上の高齢者、3番目は基礎疾患のある人のほかに高齢者施設などの職員が含まれています。熊本県がやろうとしているのは、高齢者施設などの職員の接種をひとつ前の高齢者と同じ段階にするというものです。

実は、これまで熊本県で起きたクラスターのうち2割が『高齢者施設』で発生していて、現場からも「高齢者施設のワクチン接種を早くしてほしい」と要望があったということです。対象となるのは、およそ1300施設で約3万人と見込まれていて、高齢者施設の利用者と職員が同じ時期に接種できるため、感染予防としては効果的です。国も自治体の体制が整えば同じ時期に接種することも差し支えないとしているため、熊本県以外でも同様の取り組みをする自治体が増えてくるかもしれません。

■世界のワクチン接種の現状は?

一方、世界ではすでに50カ国以上でワクチン接種が始まっています。このグラフは全人口に対して少なくとも1回の接種を終えた人の割合を表しています。中東のイスラエルでは、すでに人口の3割以上の人が1回の接種を終えています。続いてアラブ首長国連邦、イギリス、アメリカと続いていきますが、世界最速のペースで接種が進んでいるイスラエルで、少し興味深い数字があります。『0.014%』という数字です。

イスラエルの保健当局によると、ファイザーのワクチンを2回接種した約50万人のうち、その後感染が確認された人の割合が0.014%で、症状は軽かったといいます。あくまでも現時点でのデータですが、今後、他の国でも同様のデータが得られれば、期待は高まるかもしれません。

一方でワクチンの供給をめぐって、争奪戦のようなことも起き始めています。
日本にも供給される予定のアストラゼネカのワクチンについて、EU・ヨーロッパ連合は、3月末までに8000万回分の供給を受けることで合意していました。ところが、アストラゼネカはそれに対し4割程度しか確保できないと通達したということです。これを受けて、EUはEU加盟国で製造されるワクチンをEU域外に輸出する際には『事前の許可』を必要とするなど輸出制限も辞さない構えを見せています。

BBCによると、イギリス国内にあるアストラゼネカの工場ではワクチンの製造が順調に進んでいるものの、EU域内にある工場では生産がやや遅れているということです。アストラゼネカは、イギリスの方がEUより3か月早く契約を交わしたため、イギリスへの供給を優先しているとしていますが、EUの保健衛生担当の委員は、「(ワクチンは)『早い者勝ち』ではない。近所の精肉店では通用するかもしれないが、契約書にはそう書かれていない」とアストラゼネカを強く批判。イギリスでの製造分をまわしてでも足りない分を補填すべきと主張しています。ワクチンの確保をめぐり、ヨーロッパなどでは争奪戦が始まっているということです。

ワクチンで一番大切なことは、国民の大多数が接種することで、社会全体で免疫を獲得し感染が収束に向かうことです。ひと足早く接種が始まった海外の事例なども参考にしながら、日本の実状に合った接種計画の策定が求められています。

(2021年1月28日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)