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民間救急も限界近づく 依頼増で搬送断念も

2021年1月23日 14:01
民間救急も限界近づく 依頼増で搬送断念も

新型コロナの感染拡大で、患者に向き合う現場が苦悩を深めています。民間救急車への搬送依頼は増えていますが、通常の数倍の搬送時間がかかり、要請を断るケースも。一方、病院では受け入れ制限を強いられています。一刻を争う現場で何が起きているのでしょうか――。

■搬送2時間も… 1日2~3件は断念

コロナ患者を自宅から病院へ搬送する「民間救急車」への要請も増加しています。

民間救急フィール・齊藤学代表「かなり、うなぎ登りに搬送件数が増えていっている」

22日も、新型コロナに感染した70代の男性が搬送されていました。

男性「せきが出て、苦しくなるときがある」
代表「お熱も結構高く出ていますか?」
男性「38度2分くらい」
代表「普段は持病とかあるんですか?」
男性「血圧が高いことですかね。怖いね、本当に怖いと思う」

この男性は事前に受け入れ先が決まっていたためすぐに入院できましたが……。

齊藤代表「今までは自宅近くの病院が(搬送先の)メインでしたが、そういった病院も受け入れられなくなっています。30分程度で終わっていた搬送も1時間半、2時間かけて(遠い病院へ)移動するので患者さんにもかなりの負担があると思っています」

さらに、1日2~3件は要請を断らざるを得ない状況だといいます。

「困っている方がいるので、できる限り搬送したいのですが、どうしてもお断りをせざるを得ないのは、正直悔しいというか残念な気持ち」

■重症者は固定化 入れ替わり困難に

病院で受け入れを制限せざるを得ない理由は――。

東京医科歯科大学病院・小池竜司副病院長「重症の方はここから出られない状態の患者さんがかなり固定してしまっていて。入れ替わることのできる患者さんの数が(1日に)1人いるかいないかくらいの状態なので要請を受けきれない。救急隊の方々も気が気じゃないと思います」

23もの病院に受け入れを断られた患者が搬送されてきたことも。8床ある重症患者用のベッドは常にほぼ満床状態で、来週には1床増やす予定だといいます。

■コロナで増床 通常医療にしわ寄せ

限られた病床と人材で、どう対応していくのか――。

今も600人以上が入院調整中となっている栃木県の病院では、これまでコロナ病棟に勤務したことがない看護師たち向けに、研修が行われていました。

患者の増加に対応しようと、先週まで7床だった重症患者用のベッドを今週月曜から15床に増床。そのために消化器内科の病床を減らし、そこで勤務していた看護師がコロナ対応にあたることに。

自治医科大学附属病院・佐田尚宏病院長「重症の患者さんは1回重症になると長くかかるので、少なくとも今後2か月くらいはこの体制を続けないといけない。いま以上に患者さんが増えると、色々な機能をいま以上に落とさなければいけなくなるので、そういうことが一番心配していますね」

(1月22日『news zero』より)