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“看護師ボクサー”東京五輪代表へ…思いは

2021年1月22日 17:41
“看護師ボクサー”東京五輪代表へ…思いは

東京オリンピックまで23日で半年です。感染拡大で開催を危ぶむ声も上がる中、オリンピック代表候補でありながら、医療現場で働く女性ボクサーがいます。二足のわらじで大会を目指す思いにせまりました。

窓から響くかけ声。ここは埼玉県狭山市にあるボクシングジム。このジムでトレーニングに励むのが、ボクシング女子の津端ありさ選手(27)です。

津端ありさ選手「ボクシング歴は2年です。選手は1年ですけど」

力のある右ストレートを武器にオリンピックの代表候補になっています。そんな津端選手にはもうひとつの顔が…都内のクリニックに勤務する看護師なんです。

「ボクサー」と「看護師」を両立するのには、新型コロナ感染拡大の中、医療に従事する仲間への思いがありました。

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津端選手がボクシングを始めたのは2018年。10キロほど増えた体重を減量するためでした。ボクシングにはまり、翌年にはトレーナーにすすめられ選手に。初めて出場した全日本選手権で見事優勝。日本代表入りしたのです。

しかし、その後のオリンピックアジア予選で敗退。ボクシングのためしばらく看護師としての仕事を休んでいましたが、去年3月に復帰。新型コロナウイルスの感染拡大が始まったころでした。

津端ありさ選手「病院でコロナウイルスの患者さんの受け入れはしていなかったんですが、熱が出たりとか、せきがでている患者さんに対して、そのリスクがどうしても頭によぎってしまうので、誰かに何かをうつさないかなと、誰もが不安を持ちながら働いていた」

発熱患者などと接していたこともあり通っていたジムは休み、屋外などでのトレーニングを余儀なくされました。一方、コロナ患者を直接みている看護学校の同期から苦労を聞いていたといいます。

同期の看護師「危険なときにすぐに患者さんにかけよりたいけど、防護服とかつけないといけない」「人にうつすかもしれないから家に閉じこもらないと」

オリンピック半年前となり、ボクシングにさらに力をいれるため、今月から精神科のクリニックに勤務先をかえた津端選手。院長は極真空手で優勝経験があり、運動療法を取り入れていることから院内で朝練も行います。

「やらないと…オリンピックはまだまだですね」

そして、朝練の後は夕方まで看護師としての仕事をこなす毎日です。

津端ありさ選手「同期がコロナでいろんな病院で働いて苦労や大変な姿は見ているので、オリンピックがあるかないかどっちがいいものなのか正直わからない。(看護師・ボクサーを)両立することで同じ医療従事者だからこそ勇気づけられるみたいなのでそういう面では両方両立してやっていくことが私がいまできることかな」

オリンピック出場が決まる5月の世界最終予選での勝利に向け、津端選手の挑戦は続きます。