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感染拡大リスク高い場所はどこ?

2021年1月18日 22:07
感染拡大リスク高い場所はどこ?

■東京の感染者について
1月18日、東京では新たに1204人の感染が確認されました。6日連続で1000人を超えています。重症者は143人で、依然として高い水準となっています。

■自宅待機中に死亡したケース
神奈川県では、コロナに感染した70代の男性が自宅待機中に亡くなりました。男性は1人暮らしで、1月10日に陽性と判明し、11日に保健所に届けが出されました。通常、届けがあると保健所は病歴などを確認するため翌日には連絡をとります。しかし実際に電話をかけたのは2日後の13日でした。この日を含めて電話に応答がない状態が続いたため、保健所の職員が自宅を訪問し、そこで死亡が確認されたということです。
連絡が遅くなった理由について神奈川県は、保健所の業務がひっ迫していて発生届の処理が滞った状態が続いていたためと説明しています。

■東京五輪はどうなる?
状況が深刻化するなか、18日に通常国会が召集され、菅首相は施政方針演説の中で夏のオリンピックについて、以下のように述べました。

「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。」

大会組織委員会の関係者も「大会ができないことはありえない」と話していますが、自民党内では悲観論が高まっています。ある自民党議員は「もう開催は無理。世の中もそういう空気でしょ?」と話していて、別の党幹部も「コロナに打ち勝った証しにする大会というが、間に合わないだろう」としています。3月25日には聖火リレーがスタートする予定になっていますが、去年、延期が決まったのもリレー開始直前のことでした。そのため、今回も聖火リレーまでには決断が必要という声が大勢です。オリンピックの開催国としても、頑張っている選手たちのためにも、なんとか感染をおさえたいところです。

■人出の状況は?
16日、17日は緊急事態宣言の対象地域が拡大されて初めての週末でしたが、17日午後9時台の都内の人出を1週間前と比べると、渋谷駅で8.8%減少、新宿駅で1.7%減少、銀座駅では16.4%増加していました。
東京以外では、京都、大阪、神戸で大幅に減少しましたが、福岡・中洲川端駅では11.1%の減少にとどまっていました。

■「ステイ・ウィズ・コミュニティー」とは?
こうした中、ある研究に注目しました。データ分析や人工知能が専門の東京大学の大澤幸生教授が提案している「ステイ・ウィズ・コミュニティー」というものです。「ステイホーム(家にいよう)」とは違い、これは家族や職場など自分のコミュニティーの中で過ごしましょうという考え方です。大澤教授の研究によると、会う人をコミュニティー内に限定すれば感染の拡大が抑えられるということです。「自分のコミュニティー」の目安は、1週間に1回以上お互いに必要だと思って会う人で、それ以外の人がコミュニティー外としています。例えば10人程度で宴会をする場合、自分たちは仲間だからコミュニティー内だと主張する人がいるかもしれませんが、このうち1週間以内に会っている人かどうか、立ち止まって考えてくださいということです。
研究では、これを踏まえたうえで、約1300人を対象に調査を行いました。内容は1日のうちに1メートル80センチ以内の距離で5分以上話した人数や、どこで会ったかなどを質問し、コミュニティー外の人と接する頻度が高い場所はどこかを割り出しました。

■感染拡大のリスクが高いのはどこ?
その結果、割り出されたのが、図で示した「感染拡大のリスク」です。リスクが低い順から、学校、デパート、病院、オフィス、居酒屋、バス、飲食店、宿泊施設となっていて、感染拡大リスクが2番目に高い場所は電車、1番高いのはスーパーとなっています。ただ、これは感染するリスクではなくて「感染が拡大する」リスクを示していて、実際には会話したり口をあけたりする度合いを考えると、スーパーや電車よりも飲食店の方がリスクが高いといえます。そうした状況を考えると、今、飲食店の時短をしていますが、それだけでは不十分で、こうしたコミュニティー外の場所に行く回数を制限したり、行くなら短時間にしたり、また、そこで偶然誰かと会っても長く会話しないなど1人1人が意識をして行動する必要があります。

今回の大澤教授の研究では、期間を決めて締め付けの厳しい制限をかけると、それが解けた時に感染が急拡大するリスクがあるとも指摘しています。このため社会全体で、多くの人が継続して実践できる政策をとることが必要です。まずはシンプルに考えて自分のコミュニティーは誰で、どこか、それ以外の場所を訪問するときは感染拡大のリスクを踏まえて対策をしっかりとる。そして継続する。ひとりひとりが工夫して実践することが大切です。

(2021年1月18日16時ごろ news every.「ナゼナニっ?」より)