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世界で進むワクチン接種 見えてきた課題1

2021年1月16日 19:48
世界で進むワクチン接種 見えてきた課題1

新型コロナウイルスは全世界の死者が200万人を超え、累計感染者数も1億人に迫っている。世界が“救世主”と期待するワクチンだが、各国が接種をスタートさせ、1月13日時点で3000万人以上が接種を終えた。こうした中、接種を進める運用面での課題が見えてきた。日本でのワクチン接種は2月末にも始まる見通しだが、スピード感を持って普及させることができるのだろうか。先行して接種を始めた国が直面する課題から、そのカギを探る。

■世界のワクチン承認の状況
NNNがまとめた1月13日時点の各国の状況は、被害の大きい欧米諸国を中心に複数ワクチンの承認を終えている(WHO、各国の当局、主要メディアの情報を総合)。

●ファイザー 42か国=米、英、EU27か国、カナダ、メキシコ、チリ、シンガポールなど

●モデルナ 31か国=米、英、EU27か国、カナダ、イスラエル
●アストラゼネカ 7か国=英、インド、モロッコ、メキシコ、アルゼンチンなど

●スプートニク 5か国=ロシア、ベラルーシ、セルビア、ボリビア、アルゼンチン

●シノファーム 3か国=中国、バーレーン、UAE

接種を受けた人は1月13日現在、世界全体で3264万人となっている(Our World in dataより)。

国別ではアメリカ(1028万人)が最も多く、中国(1000万人)、イギリス(307万人)、イスラエル(205万人)などだ。人口比でみるとイスラエルが圧倒的に多く、国民の2割以上が1回目の接種を受けている。

■日本は参考にできるのか ~接種 各国の取り組み状況

各国はあの手この手で、できるだけ早くワクチンを普及させようと努めている。来月末にも接種が始まる日本に参考となる取り組みが多い。

世界に先がけてワクチンを承認し、接種を始めたイギリス。病院での接種はもちろん、競馬場などを改装し、1日あたり数千人が接種可能な「メガワクチンセンター」を全国各地に設置している。

さらに、街中の薬局でも接種が始まり、大小様々なスペースを活用して接種のペースを上げている。

ワクチンセンターでは、国営医療サービスの「NHS」が、設置からスタッフの配置、ワクチンの管理運搬までを統括し、効率的な運営が可能となっている。

人口あたりの接種率でトップを走るイスラエル。独自の取り組みとして「グリーンパスポート」の付与を検討している。「グリーンパスポート」とは、ワクチンの接種を終えた人にイベントや飲食店への出入りを認める「通行証」の様なものを発行する仕組みだ。

ウイルスによる規制が長引き、不自由な生活を強いられる中、より自由な生活を可能にするとアピールすることで、積極的な接種を促すのが狙いだ。

(「世界のワクチン接種、見えてきた課題 2」につづく)