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克行被告裁判“買収”感じなかった証人も

2021年1月12日 18:48

元法務大臣の河井克行被告の公判が1月12日に行われ、広島県の宮本新八県議、岡崎哲夫県議と石橋竜史市議が証人として出廷。受け取った現金の趣旨について、参院選の応援依頼だと思ったと証言する証人がいる一方で、自らの選挙の当選祝いだと思ったと述べて、買収の意図を感じなかったとする証人もいました。

12日の裁判では、午前の法廷に宮本新八県議が証人として出廷。宮本県議は、おととし3月と5月の2回にわたり、克行被告からあわせて50万円を受け取ったと証言。

1回目は、おととし3月に後援会事務所で克行被告から、妻の案里被告の参院選について「応援してください」「助けてください」などと言われた後に、机の下で周りから見えないようにして「これ」と白い封筒を渡されたと述べました。

一度は断ったものの、「まあまあ」と手渡されたとし、現金の趣旨については「参院選を手伝ってほしいという意味だと思いました」と話しました。

また、机の下で渡されたことについては、「表に出してはいけないものだということです」「公職選挙法違反だと思いました」とし、封筒の中には現金30万円が入っていたと述べました。

そして、2回目はおととし5月に克行被告から商工会の会議室に呼び出され、「これ、いつものだから」と言われて白い封筒を渡されたと証言。

宮本県議は「今は時期が悪い」と断るも、「まあまあ」と差し出され、交付金にしては封筒が厚く、参院選の応援依頼の趣旨を感じながらも、克行被告との良好な関係を壊したくないという思いから現金20万円を受け取ったと述べました。

午後の法廷には、岡崎哲夫県議が出廷。岡崎県議は、おととし3月に案里被告から現金30万円、6月に克行被告から現金20万円を受け取ったと証言。また5月にも、案里被告から現金を渡されそうになったことがあったと述べました。

おととし3月には、案里被告が事務所を訪れ、「当選おめでとうございます。二階幹事長からお祝いを預かってきました」と言って封筒を差し出し、中には現金30万円が入っていたとし、県議選の当選祝いと参院選の応援依頼の趣旨を感じたと述べました。

そして6月には、克行被告が事務所を訪れ、「いろいろお世話になっております。20万円入っておりますのでお使いください。大変厳しい選挙でございます」と言いながら封筒を机の上に置いたと証言。

岡崎県議は、現金の趣旨について「私の選挙区に対する案里被告の票の掘り起こしであろうと思いました」「選挙依頼という違法性のあるお金だと思いました」としながらも、強く押し返さず、現金20万円を受け取ったと話しました。

現金を受け取ったことについて、「大変浅はかで慎重さに欠けた軽率な行いだと思って反省をしております」と述べました。

その後には、広島市の石橋竜史市議が出廷。石橋市議は、おととし5月に克行被告から事務所に呼ばれ、「石橋さん、このたびは当選おめでとうございます。これを取ってください」と言われ白い封筒を渡されたと証言。「即座にお金かと思いました」と述べ、現金の趣旨について、市議選の当選祝いと、自身を手なずけておこうという目的を感じたと話しました。

検察側から、「参院選の応援依頼だとは思わなかったか」とたびたび問われるも、「一切思いませんでした」と述べ、買収の意図は感じなかったと証言しました。

そして、石橋市議は、当選祝いであっても他人からお金を受け取ることは信条に反するとして、「勘弁してください」と断るも、「私の内ポケットの懐に封筒を入れて『取っておきなさい、2人だけの秘密だからね』と言われました」と述べ、現金30万円を受け取ったと証言しました。

【公判を追う】河井夫妻・選挙違反事件克行被告公判(1月12日)