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西浦教授“強い対策でも2月末までかかる”

2021年1月7日 3:24
西浦教授“強い対策でも2月末までかかる”

東京都内の新型コロナウイルスの感染者数を十分に減らすには、最も強い対策を直ちに行っても、2月末までかかるとみられることが京都大学の西浦博教授のシミュレーションで分かりました。

西浦教授のシミュレーションでは、感染者1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」を基に、今後の東京都の感染者数を3つのシナリオで推計しています。

新たな感染者数を減らすには、実効再生産数を「1」より下げることが必要です。まず、新たな対策なしでこのままの状態を続ける場合です。現在の実効再生産数はおよそ1.1で、これが続くとすると、1日の感染者数は2月末で3500人あまり、3月末には7000人に達するとみられます。

一方、去年4月の緊急事態宣言の際と同じような効果を想定した場合です。政府の分科会が提言した不要不急の外出の自粛やテレワーク7割、飲食店からのテイクアウトを進めるなどをセットで行って、実効再生産数を0.7程度に下げる、つまり、1人の感染者が感染させる人数を0.7人という状態にできれば、1日の感染者数は、2月25日頃には100人未満(ステージ2相当)になるとしています。

西浦教授は日本では、外出を強制的に禁止することなどができない中、十分に感染者数を減少させるには、最速でも2か月はかかると結論づけています。

一方、飲食店の時短営業のみの対策を行った場合で、2月末時点で、1日の感染者数はおよそ1300人で、現在とほとんど変わらない状況が続くということです。

西浦教授は、「とりあえず宣言して様子を見ようはとても危険」「緊急事態宣言をするからには必要とされる接触削減を実行すること。特に屋内の接触を妥協なく削減すれば、短い時間での緊急事態宣言の解除が見えてくる」と話しています。

なお、このシミュレーションについて、6日、厚生労働省のアドバイザリーボードで、メンバーの1人である西浦教授自ら説明しましたが、資料そのものは「非公開」として、公開されたアドバイザリーボードの資料には含まれていません。

アドバイザリーボードの脇田座長は、終了後の会見で、このシミュレーションについて、「昨年末から議論してきた」と述べ、専門家の間ですでに共有していたことを明らかにしました。

また、厚労省は、資料を非公開とした理由について、「アドバイザリーボードの役割は最新の感染状況の評価で、実際の対策については分科会が扱う。資料は、非公開とすることで、西浦教授も了解した」と説明しました。