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豪雨災害は必ず来る!首都水没から命を守れ

2021年1月2日 13:37
豪雨災害は必ず来る!首都水没から命を守れ

「地震噴火はいつ来るかわからない。でも豪雨災害は2021年も必ず来る」気象庁の予報官は、2021年を迎えるにあたり気を引き締め直した。

■豪雨災害の発生確率は「1年以内にほぼ100%」
・2020年「球磨川氾濫」
・2019年「東日本台風」
・2018年「西日本豪雨」
・2017年「九州北部豪雨」
・2015年「常総大水害」
・2014年「広島土砂災害」

毎年のように全国のどこかで豪雨災害に襲われている。近年、地球温暖化の影響を受け、雨のもとになる大気中の水蒸気量が増加。気象庁の観測によると、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る頻度は、直近10年(2010年~2019年)で実に1.4倍に増えている。豪雨災害のリスクは、データ上でも確かに増加しているのだ。

政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震の発生確率を「今後30年以内に70%から80%」、首都直下地震の発生確率を「今後30年以内に70%」と見積もっているが、豪雨災害が起きる確率は、「今後1年以内にほぼ100%」と言えるだろう。

これが人口密集地で発生すると、被害はさらに深刻になる。首都圏を流れる荒川が氾濫決壊した場合がその典型だ。

■荒川氾濫で最悪の場合2000人死亡
国土交通省荒川下流河川事務所などによると、もし荒川が氾濫・決壊した場合には、北千住駅などに濁流が押し寄せ、川の水は地下鉄の線路を通って都心にも到達。銀座の歌舞伎座や東京駅も浸水すると予想される。最悪の場合、およそ2000人が命を落とすと想定されている。

■現実味を帯びる「荒川氾濫」
荒川の堤防は、足立区と葛飾区を結ぶ京成本線鉄橋の部分だけ約3m堤防が低くなっていて、2019年10月に東日本台風(台風19号)が上陸した際には、氾濫寸前まで水位が上昇。偶然、水位上昇のピークと東京湾の満潮のタイミングが重ならなかった幸運もあり、氾濫の危機はギリギリで回避されたものの大規模な水害発生の一歩手前だった。

■現実味がない「広域避難」
墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区はまとめて江東5区と呼ばれる。江東5区は「ゼロメートル地帯」を多く抱えるため、荒川や江戸川が氾濫するとその人口の9割にあたる実に250万人が浸水被害を受ける恐れがあり、避難する必要に迫られる。

しかし、これだけの人が避難できる場所を、それぞれの自治体毎に確保するのは極めて難しい。必要になるのが区市町や都県の枠を越え、自分が住む自治体以外の場所に避難する「広域避難」の考え方だ。

■遅れる「広域避難」計画
2020年12月、国は「広域避難」をスムーズに実施することを目的に、災害が発生する前から台風の予報などに基づいて「非常災害対策本部」を設置できるよう法律を改正する方針を決めた。

こうした法整備の一方で江東5区の住民が避難する具体的な場所やそこまでの移動手段のメドは全く立っていない。「広域避難」の実現にはまだまだ課題が多く2021年の大雨台風シーズンになっても全く見通せないのが実情だ。

■ゼロメートル地帯に「高台」計画中
こうした中、東京都と国土交通省などは、別の視点で江東5区内に大量の避難者を収容できる場所の確保に動き始めている。「高台まちづくり」構想がそれだ。

例えば、こちらのイラストのように、駅前の地上より上にペデストリアンデッキなどをつないで近くのビル等と結び、平時は賑わいのある駅前空間を演出。浸水時にはデッキと建物に垂直避難することで命を守り、最低限の避難生活水準を確保することを目指している。こうしたペデストリアンデッキ等を活用する取り組みはJR小岩駅などで検討が進められている。

他にも、川沿いに「高台公園」をつくり、平時は子どもたちの憩いの場を提供する一方、浸水時にはゼロメートル地帯の「浮島」のような役割を果たし、緊急避難場所や救助活動の拠点として活用することを目指している。江戸川区の篠崎公園などでは、すでに基本設計が進められている。

■首都高に避難も?
さらに、2020年12月、小池都知事と赤羽国交大臣は、首都高速道路の高架化された部分に住民が避難できるよう、具体的な対応を検討するよう指示を出した。

首都高速道路は緊急時に物資や人員を輸送する役割を果たすため、どうすれば首都高速道路を緊急時の避難先としても活用することができるか、今後、東京都と国交省、江東5区などで協議が進められる予定だ。

■どう避難するかは自分次第
しかし、こうした取り組みは2021年の大雨台風シーズンには間に合いそうにない。また「広域避難」に向けた歩みに至っては、さらに遅く、国や自治体は「広域避難」実現への道筋をいまだに描き切れていない。

だからこそ今、私たちは自分自身で具体的な大雨災害時の対応をイメージしておく必要がある。浸水想定域の中に住んでいても、マンションの高層階に住み、2週間分の食料を備蓄している人は必ずしも避難する必要はないかもしれないが、例えば、年末年始の機会を利用して、浸水想定域の外に住む親戚や友人に「いざという時は事前に避難させてね」と一言お願いしておくことも大切かもしれない。

※画像=高台公園イメージ(浸水時) 提供:国交省・東京都