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バイデン政権の課題は…米国の“2つの病”

2020年12月29日 12:26

アメリカでは来月20日、バイデン次期大統領の就任式が行われます。コロナ対策やアメリカ社会の人種問題など新政権はどんな課題を抱えているのでしょうか。


◆新型コロナとの闘いで「暗黒の日々」

第46代アメリカ大統領に就任するバイデン氏。しかし、いまワシントンには「幕開け」の高揚感はありません。それは、アメリカ社会が「新型コロナウイルスの蔓延」と「社会の分断」という2つの“重い病”を抱えているからです。

バイデン次期大統領「新型コロナとの闘いで、暗黒の日々はこれからだ」

自ら「暗黒の日々」と想定する時期に新政権を発足させるバイデン氏。専門家らも、口をそろえて「暗黒」との表現で強い危機感を示しています。


◆もう一つの病「社会の分断」

そしてもう一つの病は、「社会の分断」です。今回、トランプ大統領がバイデン氏に迫る票を獲得したことは、改めて、アメリカ社会が完全に二分されていることを浮き彫りにしました。

トランプ大統領「我々は大統領選で圧勝した」

トランプ大統領が敗北を認めず、2024年の次の選挙への出馬を示唆していることも、さらに分断を助長しています。

トランプ支持者「4年後には戻ってきてほしいわ。頑張ってトランプ!」

バイデン氏は、こうした熱狂的なトランプ支持者にも、徹底的に寄り添う姿勢を強調しています。

バイデン次期大統領「赤い州(共和党)も青い州(民主党)もない、あるのは一つのアメリカだけだ」

「すべての国民の大統領になる」とも訴えていますが、民主党関係者からも「言葉だけで団結できるほど甘くはない」と冷ややかな見方が出ているほか、ある外交筋は、「バイデン氏はトランプ大統領を破り、退場させた時点で、その使命をほぼ終えている」と期待値の低さを語っています。


◆「次世代のリーダー候補」にも注目

こうした中、バイデン政権では、女性としても黒人としても初の副大統領となるハリス氏、38歳で運輸長官に指名され同性愛者を公表しているブティジェッジ氏ら、多様性あふれる「次世代のリーダー候補」も注目されそうです。

「コロナ」と「分断」という圧倒的に厳しい現実を前に、“1つのアメリカ”という理想をどこまで貫けるのか、バイデン政権の実行力が問われる4年間が始まります。