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袴田事件“差し戻し”最高検「誠に遺憾」

2020年12月23日 15:20
袴田事件“差し戻し”最高検「誠に遺憾」

静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」で、最高裁は袴田巌さんの再審(=裁判のやり直し)の審理を、東京高裁に差し戻す決定をしました。

袴田巌さんの再審について、最高裁が審理を差し戻す決定をしたことで、審理の舞台は再び東京高裁となります。袴田さんの釈放も継続されます。

死刑が確定していた袴田巌さんは、2014年に静岡地裁で再審の開始が認められ、48年ぶりに釈放されていました。この決定に検察側は不服を申し立て、2018年、東京高裁は一転して再審の開始を認めない決定をしました。弁護側は最高裁に特別抗告していましたが、最高裁は22日、東京高裁に審理を差し戻す決定をしました。

再審請求では、みそタンクの中から見つかった犯人のものとされるみそ漬け衣類に付着した血液の色合いが、不自然かどうかが争点の一つになっていました。

最高裁は決定の中で「血液の色合いに影響を及ぼす要因である、みそと血液の化学反応に関する専門的知見について審理を尽くしていない」と指摘。「専門的知見等を調査するなどした上で、付着した血液の色合いが1年以上みそ漬けされていたとの事実に、合理的な疑いを差し挟むか否かについて判断させる」として審理を差し戻しました。

袴田さんの釈放も継続されます。最高検は「検察官の主張が認められなかったことは誠に遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」とコメントしています。