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米“コロナ専用ICU”最前線 壮絶な戦い

2020年12月21日 19:29
米“コロナ専用ICU”最前線 壮絶な戦い

新型コロナウイルスの感染者が世界最多となっているアメリカ。新規感染者は1日に約20万人にのぼり、31万人以上が亡くなっています。今回、日本テレビは、テキサス州で重症患者を受け入れる病院の取材を許可されました。

これから流れる映像では、容体が急変した患者の蘇生措置などの治療の様子もありのままお伝えします。「日本にはアメリカと同じ間違いを犯してほしくない」-そう語った医師の、壮絶な新型コロナウイルスとの闘いです。

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私たちが向かったのは、アメリカ・テキサス州ヒューストンにある「ユナイテッド・メモリアル医療センター」。テキサス州で最大規模のコロナ専用ICU(=集中治療室)を持ち、新型コロナウイルスの重症患者が多く入院しています。

新型コロナ患者の治療を続ける責任者のジョセフ・バロン医師。270日間、休まず患者の対応にあたっているといいます。厳重な感染防止対策を行い、日本のメディアとして初めて入ったICUには、コロナと闘う過酷な医療現場がありました。

重症患者のエリアには、ぐったりと意識を失った女性が。喉を切開し、人工呼吸器を取りつける手術が行われ、医師たちは緊張した表情で対応にあたっていました。

次の日、現場はさらなる緊張感に包まれます。重症の患者らが各地から次々とコロナ専用のICUに搬送されていました。

新たに搬送されてきたゴメスさん(63・仮名)。酸素吸入器をつけているものの、容体は落ち着いているように見えます。しかし、約5時間後、容体が急変しました。看護師に止められるも、苦しそうに酸素マスクを取り払おうとするゴメスさん。バロン医師が人工呼吸器をつける処置を行い、いったん容体は落ち着きました。

一息つく間もなく、隣の部屋に向かうバロン医師。容体が急変した患者の対応に次々と追われていました。看護師も立ったまま食事を取ったり、わずかな合間に休憩を取るなど、スタッフは疲れ切っている様子です。

新型コロナの重症患者の対応がいったん落ち着き、バロン医師に話を聞いていると、“緊急事態”を表す「コードブルー」が発せられ、一気に緊張感が走ります。

「コードブルー」が発せられた病室へ走って向かうと、先ほど人工呼吸器がつけられ、落ち着いたように見えたゴメスさんの容体が急変していました。医師ら10人以上が駆けつけ、心臓マッサージなどを懸命に行います。しかし…。

バロン医師「みんなよくがんばってくれた。死亡宣告をします。午後7時10分、死亡です」

ゴメスさんの心臓が再び動くことはありませんでした。ゴメスさんの死を娘に伝える研修医。

セルベラ研修医「私たちができることはすべてやりました。最後まで闘い続けましたが残念です」

スタッフにとって精神的な負担が大きい医療現場。270日間、休むことなくコロナとの闘いを続けるバロン医師は次のように話しました。

バロン医師「どれだけ早く感染を抑えられるかは、みなさんがいかに適切な行動を取るかにかかっています。日本にはアメリカと同じ間違いを犯してほしくありません」