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【解説】“変異ウイルス”イギリスで急拡大

2020年12月21日 21:05
【解説】“変異ウイルス”イギリスで急拡大

■東京の感染者数 月曜日としては過去最多
最新の新型コロナ感染者数です。東京では12月21日、392人の感染者が新たに確認されました。感染者が比較的少ない月曜日としては過去最多です。重症者は63人と依然として高止まりの状態が続いています。
街に出る人の数を12月20日と1週間前の13日で比較すると、銀座や新宿では減っていましたが、お台場や渋谷センター街では増えていました。場所によって違いはあるものの、目立った減少はみられませんでした。

■イギリスでは“変異種”が急速に拡大
こうした中、イギリス政府は12月19日、ロンドンや東部などで新型コロナウイルスの「変異種」への感染が急速に広がっていることを明らかにしました。ロンドンでは新規感染者の実に6割以上が変異種によるものでした。この変異種は、現地の専門家によりますと、9月半ば頃にイギリスの南東部で初めて確認されたと考えられています。これが3か月の間に広がったということになります。なお、“ウイルスの変異”と聞くと驚くかもしれませんが、一般的にはよくあることです。
イギリスのジョンソン首相はまた「初期の新型コロナウイルスに比べて伝染性が最大で70%強いかもしれない」と話しています。つまり感染の広がりやすさが7割増しているという指摘です。
ただ、ウイルスの強さや持続性については、まだきちんと解明されていません。

■イギリス「ワクチンが効かない証拠はない」
イギリスの感染状況ですが、12月20日に1日の感染者が過去最多となる3万5928人となりました。保健相は現時点で「感染拡大を制御できていない」と話しています。そうなると気になるのはワクチンが効くのかという点です。
イギリスでは19日までに約35万人が接種を受けていて、ジョンソン首相は「ワクチンが効かないという証拠はない」と話しています。ただ、裏を返すとワクチンが効くという証拠もないということです。これは科学的データがでてくるのを待つしかありません。

■ロンドン 外出制限を開始
この変異ウイルスは急速に広がるのが特徴です。ロンドンなどでは12月20日から厳しい外出制限が始まりました。可能な限り自宅に留まることが求められ、生活必需品を扱わない商店の営業は禁止されています。
日本でいえば銀座の目抜き通りにあたるロンドンの中心部も、例年クリスマスシーズンは買い物客でごったがえしていますが、人もまばらで車もほとんど通っていませんでした。街の人は次のように話していました。
「クリスマスを家族で過ごせない。本当に悲しいことですが、こうなってしまってはやむをえないと思います」
イギリスは今回、本格的なロックダウンを初めて行いました。このウイルスは現段階で非常に広がりやすいので、すぐに行動しなければならないという警戒感の現れでもあります。

■問題はイギリスにとどまらず
これはイギリスだけの問題ではありません。ヨーロッパ全体で警戒感が高まっており、フランス、ベルギー、イタリア、ドイツ、オランダなどは、イギリスとの間で旅客機や列車の運行を一時停止すると発表しました。自分の国を守る措置をとりはじめているわけですが、一方でWHOは、イギリスで広がっている変異ウイルスと同じ型のウイルスがオランダやデンマークでも確認されたと報じています。
すでにほかの国でも広がっている可能性は捨てきれません。
では、日本は大丈夫でしょうか。12月21日、加藤官房長官は「国立感染症研究所によると日本国内で同様の変異したウイルスは確認されていない」と述べるとともに、イギリス政府と緊密に情報交換を行って対応すると話しました。

■日本の水際対策
現在、日本の水際対策はどうなっているのか、入国制限について調べました。
ヨーロッパを含め、全世界からの外国人観光客の入国は今なお認められていません。ビジネスについてもヨーロッパは原則入国禁止の対象となっています。
ただし、中長期に日本に滞在する在留資格が認められた人、たとえば日本に駐在する外国人ビジネスマンや外国人留学生については、日本入国時にウイルス検査を受けた上で2週間待機すれば日本への入国が認められます。
変異したウイルスについては、まだ初期段階のデータしかなく、今後このウイルスの性質や症状などにどのような影響を与えるのかなど、引き続き世界が注視する状態が続きます。
(2020年12月21日16時ごろ放送news every.「ナゼナニっ?」より)