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失敗してもいいよ~孤独を救う居酒屋物語~

2020年12月18日 16:23
失敗してもいいよ~孤独を救う居酒屋物語~

ここは店員の失敗を許してくれる居酒屋。

男性「挨拶の話はじめの音が出せない。」

男性「失敗しないのかというのが一番の不安ですね」

ひきこもり経験などのある若者が次のステップに向け働いています。

お客さん「がんばってよ」

お客さんも彼らを理解し入会料300円で会員になり居酒屋を支えています。

白石祥和さん「失敗しちゃだめな社会だから逆に『失敗してもいいよ』という場所があって、会員の人が温かく見守ってくれるのであれば」

“失敗してもいい”場所を作りたいという思いに地域の人々が賛同し、居酒屋“結”が誕生。

百花さん「こんちはっす!」

粟野百花さん。百花スマイルはいまや店の看板です。

白石さん「ホールだとお客さんの評判は一番いい。明るいから」

百花「はははは」

中学生の時不登校になりリストカットを繰り返しました。

過呼吸の発作もあり仕事に就けずにいた頃、“結”の存在を知り働き始めました。

百花さん「父親がいなくて、実家に(仕送り)出してたりするもんで、そういうのでやっぱり貯金のちょの字もないですからね」

仕送りしながら自立をめざしています。

特に気がかりなのは姉・香澄さんのこと。

神経線維腫症という難病で病状が悪化していました。

百花さん「(姉に)何をしてあげたらいいだろうって。ひたすら『代われるなら代わりたいよ』ってよく言うけど…」

就労トレーニング中にもらえるのは月3万円ほどの謝礼金。

お客さんに見守られながら百花さんは大きく成長。

お客さん「おめでとうがんばったね」

“結”を卒業し米沢市内の飲食店に就職することが決まりました。

百花さん「急激に体弱くなったりして、これでまた駄目だって思ったら代表はそれでも仕事出来る時だけしろって言われて、はじめて自分を大切にしようってここで教えてもらいましたし、一人にならなくて良かったんだなって本当思ってます」

しかし、その5ヶ月後…百花スマイルは無くなっていました。

方言で接客をするとお客さんから『言葉が汚い』と言われました。

その事で自信をなくし2か月で仕事を辞めてひきこもっていた百花さん。

百花さん「縛りつけておかねえとふらっとどっかさ行きそうな気がする。自分で気をつけないと思ってる」

白石さん「うーん、それはどういう意味」

百花さん「まあ多分そっちの意味」

白石さんが百花さんに伝えたかった思い。

“結”を卒業した時のあの頃の気持ちを、もう一度思い出してほしい。

ここは“戻ってこられる場所”。

百花さん「お疲れ様でーす」

白石さん「はえーな一番乗り」

もう1度“結”で、そう思えたのは、百花さんに訪れた悲しい別れがあったから。

姉の香澄さんが亡くなったのです。

スマートフォンには、生前聞いたことが無い姉の思いが残されていました。

百花さん「悔しいとか、怖いなあとか、何でこうなったんだろうなあとかって、今まで本当に言わなくて死にたくないなあっていうのが書いてあって、それを後になって発見するっていうのが…。『辛くても死にたい』なんて言えないなって」

さあもう1度…。

白石さん「(タオル)何で巻いてないの?」

百花さん「出戻りしたのに巻いてると偉そうに思われるかと思って」

ここは失敗を許してくれる居酒屋。

※山形放送で制作したものをリメイク。2020年9月放送、NNNドキュメント「失敗してもいいよ」より。

【the SOCIAL×NNNドキュメントより】