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コロナ禍で焼き肉店“独り勝ち”のワケとは

2020年12月17日 21:53
コロナ禍で焼き肉店“独り勝ち”のワケとは

今、おうちご飯が広がる一方で、焼き肉店の売り上げが伸びています。外食産業が、新型コロナウイルスの影響を受ける中、焼き肉店が好調となっているワケとは。

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香ばしく焼かれるカルビに、分厚い牛タン。したたる肉汁が、食欲をそそります。ここは都内の焼き肉店。お客さんがタッチパネルで注文すると、専用レーンにのって、お肉がお客さんの目の前へ。

別のテーブル席には、配膳ロボットがお肉を運んでいました。非接触のサービスによって、店員との接触機会をおよそ8割減らしたというこのお店。

看板をみてみると「焼肉の和民」と書かれています。実はここ、今年7月までは、居酒屋でしたが、10月、焼き肉店に改装し、生まれ変わりました。

ワタミ焼肉営業部 小林真課長「コロナウイルスの影響を大きく居酒屋の方が受けまして」

その訳は、感染拡大の影響で、ワタミの、居酒屋部門の先月の売り上げは、去年に比べおよそ4割減少。そこで、客足を見込める焼き肉店にしたところ、この店の売り上げは。

小林真課長「(大鳥居駅前店の売り上げ)前年比280%と大きく増えております。おかげさまで」

新型コロナウイルスの影響で、外食を控える人が増え、今年、倒産した飲食店の数は、全国で736件と過去最多。

一方で、焼き肉チェーン店は、他の飲食店より客足の回復が早く、ほぼ独り勝ち状態。10月の売り上げは去年と比べ、およそ1割増えています。なぜ、今、焼き肉の人気が高いのでしょうか。

お客さん「家だと(煙の)においがこもっちゃったりとか。(ロースターが)換気もたぶんしてくれるし。(感染対策の)安心感ありますよね」

お客さん「(焼き肉は)特別ですよね。家族で食事にいこうかっていうときに、いいなって。ちょっと奮発して」

安心しながら、おうちご飯では得られない、特別感も味わえるため、コロナ禍でも、焼き肉店に足を運ぶという声が。和牛専門の焼き肉店「牛の達人Private新宿本店」では、ほぼ毎日、満席状態だといいます。

お客さん「めちゃくちゃおいしいです」

お客さんをとりこにしていたのは、サシの入ったA5ランクの和牛。クリスマス限定のメニューで、焼き肉に加えローストビーフや、肉ずしなど、様々な和牛料理を食べ尽くせる「クリスマス限定コース」です。このお店を選んだ訳について、お客さんは。

お客さん「個室というのと、肉が食べたかったから」

全席個室でほかのお客さんとの接触を避けられるので、安心感があるといいます。

牛の達人 堀江直人取締役「たくさんのお客様に、ご来店いただいています」

コロナ禍の焼き肉人気。和牛の卸売価格に、変化をもたらしています。

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私たちが訪ねたのは黒毛和牛で有名な鹿児島県。生産者に聞いてみると…。

カミチクファーム 事業部部長 冨田親廣さん「牛が足らないくらい売れているんじゃないですかね」

感染拡大で、外食の需要が減少し、春先には和牛の相場も下落していたのですが、その後、焼き肉店に客足が戻ってきたことなどから、和牛の消費量が増加。先月時点の卸売価格は、去年より高くなっています。この黒毛和牛を飲食店などに卸す会社では。

カミチク 商品部部長代理 野添悠也さん「外食の方が復活してきたので、だいぶ販売が順調でございます」

ただ、こんな不安も。

野添悠也さん「今また第3波の影響で、年末年始が不安な状況であるのは事実」

産地では、再び外食を自粛する人が増え、和牛の需要が減るのではないかと不安を抱いています。