×

年末年始の過ごし方 特徴は「安・近・短」

2020年12月9日 21:13
年末年始の過ごし方 特徴は「安・近・短」

全国の死者数が8日に過去最多となり、東京でも9日、過去2番目に多い感染者が出ました。そんな中、年末年始の過ごし方で見えてきた特徴は、新しい「安・近・短」 。専門家が指摘する注意点とともに解説します。
 
■1日あたりの死者数が過去最多に
 
9日に東京で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は572人で、過去2番目に多い人数です。重症者は59人となり、8日より1人減りましたが、高い水準で推移しています。
また、全国でも深刻な状況が続いています。8日は全国で2173人の感染が確認されました。過去最多となったのは、京都が63人、香川が17人。埼玉でも過去最多と並ぶ172人となりました。9日、愛知では過去最多となる245人の感染者が確認されました。
 
8日、亡くなった方は47人と過去最多になりました。北海道や大阪で9人、新潟では初めての死者も出てしまいました。
東京では8日、80代と90代の男女6人が亡くなったと発表されました。そのうち4人がデイサービスなどの施設内感染で、すべて別々の施設でした。また、5人は高血圧や糖尿病などの基礎疾患がありました。11月30日に亡くなった90代男性は「家庭内感染」でした。
今は誰がかかってもおかしくない状況です。 家庭にウイルスを持ち込まないよう対策を徹底していきたいです。 
 
■尾身会長“GoToトラベルを一時停止すべき”
 
死者や重症者が増える中、大阪の吉村知事は9日、「できれば年末年始の帰省は控えていただきたい」と発言しました。 
一方、国会では「GoToトラベル」について以下のようなやりとりがありました。
 
立憲民主党・山井和則議員「東京は高齢者や基礎疾患の方だけではなく、少なくとも、GoToをいったんとめるということをすべきではないですか」 
政府の分科会・尾身茂会長「今の時期、感染の今この状況を打開するためには、GoToを含めて、人の動き、あるいは接触を控えるべき時期だと私は思っております」 
 
尾身会長は、東京などステージ3相当の地域は「GoToトラベル」を一時停止すべきとの考えを改めて示しました。いまは東京発着の旅行は高齢者と基礎疾患のある人に自粛が呼びかけられていますが、すべての世代で一時止めようと訴えています。 
 
また、政府がGoToを6月末まで延長することにしていますが、これについても尾身会長は「しっかり抑えて下火にしてから、国民の理解を得て、またしっかりとやるほうが、トータルとしては経済的にも影響があるし、国民の理解が得られやすいのではないかというふうに、私は個人的に思います」 と答えました。 
尾身会長としては、国民の不安を払拭してからGoToを行うほうが感染対策も、経済にも後押しにもなると指摘しています。 
 
■年末年始の特徴 新しい「安・近・短」
 
こうした中、年末年始の帰省や旅行について、みなさんどう考えているのでしょうか。 
 
JR東日本が8日発表した年末年始の指定席の予約状況は、2019年の同じ時期と比べて、新幹線が45%、特急など在来線が51%にとどまっています。つまり、2019年の半分程度の数字です。
 
また、旅行会社大手JTBが年末年始の旅行について行った意識調査によると、帰省を含む旅行に「行く・たぶん行く」と答えた人は合わせて14.8%、「行かない・たぶん行かない人」は85.1%でした。 帰省や旅行に行く人に聞くと、今年は特徴がありました。 
 
それは、「新常態の安・近・短」 です。
 
・安心
安は“安い”ではなく、「安心・安全」のことです。利用する交通機関で最も多いのが乗用車で2019年よりも増加し、新幹線や高速バスは減少しました。「安心」を求めて公共交通機関を避けたということです。 
 
・近場
旅行先は自分の住んでいる地方を選ぶ人が多くなりました。 
 
・短期間
旅行や帰省の日数で一番多いのが1泊2日で、2019年より増加しました。2泊・3泊は2019年より減っています。

また、コロナ禍の旅行で特別に配慮することを聞くと一番多かったのが「家族・親族や親しい友人以外会わない」でした。 ほかにも「感染者が増加する地域は避ける」という回答もありました。 
 
■専門家に聞く、移動中と帰省先での注意点
 
感染リスクを避けながら帰省するにはどうすればいいのでしょうか。日本感染症学会・東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅医師に聞きました。
 
【移動中の注意点】
・機内や車内ではマスク着用
・飲食はできるだけ避ける
・移動中もこまめな手洗
・トイレから座席に戻った後も手を消毒(レバーや共有部分を触っている可能性があるため)
・乗客が少ない始発便などに時間帯にずらす
・ボックスシートより横並び座席で、対面はなるべく避ける
 
【帰省先での注意点】
・寝室をできるだけ分ける
・実家に泊まらずホテル宿泊も選択肢に
・家族の会食は静かに
・団らんタイムはマスク着用し対面時間は短くする
 
今年の帰省はいつもと違います。自分や家族、移動中の周囲の人に気を配って、感染対策をしながらの道中になります。こういうときはギスギスしがちなので、みんな優しくありたいものですね。 

(2020年12月9日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)