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中国で離婚を制限へ30日の「冷却期間」

2020年12月4日 23:12
中国で離婚を制限へ30日の「冷却期間」

中国では、離婚を申請してから成立するまでに30日間の冷却期間を置く制度が2021年1月1日から導入される。この冷却期間中に夫婦のどちらか一方の意思が変わって離婚を希望しないとなった場合、申請を撤回できるというものだ。

さらに、この冷却期間が終わってからも30日以内に夫婦双方が「離婚証」の交付を申請しない場合には、これもまた離婚申請は撤回されることになるという。

■「衝動的な離婚を防ぐため」少子高齢化対策の思惑も

中国語では「離婚冷静期」と書くこの新たな制度について、中国政府は「衝動的な離婚を防ぐための措置」だとしていて、ことし5月の全国人民代表大会で成立した民法典に盛り込まれた。

たしかに中国の離婚率は高い。中国政府によると、中国では2019年、947万組が結婚した一方、415万組が離婚した。2019年、中国の人口1000人あたりの離婚件数は3.4と、日本の1.7の2倍だ。さらに、結婚率は年々下がる一方で離婚率は上昇を続けている。

このままの状況では中国で進む少子高齢化がさらに加速しかねず、少しでも離婚を抑制したいという政府の思惑も透ける。

この制度が明らかになった5月の時点でも一定の議論はあったが、実施が目前に迫った12月4日、中国政府の担当部署である民政部が記者会見を行うとネットではたちまち大論争が巻き起こった。

■半日で2万以上のコメント 批判で炎上も制度は施行へ

中国の国営メディアが伝えたところによると、「冷却期間中に一方が離婚に同意しなかったらどうすれば良いのか」との質問に対して、中国政府民政部の担当者は、「離婚を求めて裁判を起こすか、あるいは2人で一緒に暮らしてください。片方が同意しないということは、
2人は冷静に話し合う必要があるということです」と回答したという。

この記事に対して、ネット上では「離婚は個人の権利だ、国家が関与していいのか」などと批判が殺到、わずか半日のうちに2万3千以上のコメントが寄せられ、その多くが批判的なものだった。

また、同じ会見で民政部は「家庭内暴力がある場合は訴訟を起こして離婚が出来る。今回の規定は家庭内暴力の被害者を追い詰めるものではない」と説明しているが、これに対しても「すべての被害者が訴訟を起こせるわけではない、離婚を制限するべきではない」など批判する声が相次いでいる。

炎上中の新制度だが、施行の方針は変更されていない。

■身近なところでも・・・

さて、議論を巻き起こしているこの制度、ちなみに私が職場で一緒に働く中国人の同僚達に聞いてみたところ、なんと全員反対。中でも未婚の男性同僚は「離婚するのが大変なら結婚もしない方がいい」とまで話している。今回の騒動で、「少子高齢化を抑えたい」という政府の思惑が裏目に出る可能性もないとは限らない。