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第三者の卵子で授かった子供 母親の思いは

2020年12月4日 20:15
第三者の卵子で授かった子供 母親の思いは

第三者からの精子や卵子の提供で、子供を授かった場合の、親子関係を定める民法特例法が成立しました。

1歳と3歳の子供を育てるさとみさん。2人の子供と、血のつながりはありません。不妊治療を重ねても妊娠できず、海外で行った第三者からの卵子提供で、2人を授かりました。

卵子提供で出産した さとみさん(40代)「やっぱり子供が欲しかったっていう理由しかないですね。あとは、やっぱり卵子提供だったら夫の方の遺伝子も残せるのかなって」

どうして自分の卵子で、妊娠できなかったのか。卵子提供で生まれた子供をきちんと育てられるのか。葛藤しつつ、出産を迎えたといいますが。

さとみさん「息子の誕生と共に、自分が抱えていたマイナスのものが全部どこか遠いところに飛んでいってしまって、ただただ本当に生まれてきてくれてありがとう、という気持ちだけでもう胸がいっぱいに…、すみません…」

こうした、第三者からの卵子や精子の提供により生まれた子供と、親との関係を明確にする法律が、4日成立しました。法律は、第三者からの「卵子」提供の場合、提供者ではなく「出産した女性」が母親。第三者からの「精子」提供の場合、「提供に同意した夫」が父親と定めました。

さとみさん「法律ができると当事者の親の方の意識も、やっぱり前向きに変わっていくことは期待したいところですね」

親子関係は法律で定めたものの、日本でどこまでの生殖補助医療を認めるのかなど、根本的な課題は先送りしています。なかでも、最優先で議論すべきと指摘されるのは、生まれてくる子供側の視点。

しかし、子供が自分のルーツ、すなわち出自を知る権利についても、「2年をめどに検討」と先送りしているのです。

2日の国会審議。第三者からの精子提供で生まれた石塚幸子さんが、当事者の苦しみをかたりました。

第三者からの 精子提供で生まれた 石塚幸子さん(41)「(突然の告知で)自分の23年間の人生が、母のついたウソの上に成り立っていたものであるかのように思えてしまい、何が本当で、何がウソなのかがわからなくなり、自分が一体何者なのかということがわからなくなってしまいました」

石塚さんは、自分を肯定して生きていくために、提供者の情報が知りたいと、訴えて続けてきました。

石塚幸子さん「(検討期間とされる2年の間にも)私たちと同様の子供が生まれ、権利が保障されぬまま情報も保管も管理もされず、将来的に今の私たちと同じような悩みを抱えてしまうことになりかねない」

卵子提供で出産したさとみさん。長男には、2歳の誕生日に、卵子提供であることを、絵本を使って伝えました。

さとみさん「告知を前提として(卵子提供を)やらなければ、すごく大変な事になってしまうっていうことを、すごく感じたんですね。顔の分かるドナーさん、ある程度ドナーの情報を子供に伝えられるようなドナーさんを選ぼうと」

子供が知りたくなった時、見せようと、ドナーの情報や、写真を大切に保管しています。

自身も卵子提供で出産した、野田聖子議員は。

卵子提供で出産 野田聖子議員「多くの人たちが不妊治療によって幸せになるように、そして生まれてきた子供たちが幸せになることを第一に考えて、スタートを切った」