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子どもがLGBTだったら…家族のあり方

2020年10月29日 5:32
子どもがLGBTだったら…家族のあり方

特集『LGBT~自分らしく生きる』です。29日は、ゲイであることをカミングアウトした男性とその母親に、もし、自分の子供からカミングアウトされたら、どのように向き合えばいいのか?家族のあり方について、Oha!4の杉原凜アナが聞きました。

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成人式で仲良く微笑む母と息子。実はこの1年前、息子はLGBT(性的マイノリティー)のゲイであることを母に告げました。その時、親子は……

息子「突然、彼氏できた?って聞かれて、すごくびっくり」

母「育てている親が知っているのは、実は一番大事なこと」

もし子どもがLGBTだったら、家族はどう向き合えばいいのでしょうか。

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松岡宗嗣さん(26)。今ではゲイであることを公表し、LGBTが抱える問題について情報を発信しています。松岡さんが「性のあり方」に疑問を持つようになったのは、小学5年生のころ。その時、母・成子(54)さんは……

──松岡さんがゲイかもしれないと思ったことは?

母・成子さん「美しいものに敏感で、アクションの強いものは敬遠する。電車や車には興味なさそうだし。ゲイなのか、トランスジェンダーなのか、私も知識がなくて」

成子さん自身、LGBTという言葉は知っていても具体的な知識はなく、悩む息子に“彼女はいるの?”と軽い気持ちで質問していたといいます。息子は、心を閉ざしてしまいました。

母・成子さん「そんな質問する人に言えるわけないよねっていうのは、後で気がついて。タイムスリップしたい」

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どうにか息子と向き合いたいと“彼女はいるの?”から“彼氏はいるの?”と質問を変えてみたところ、息子がカミングアウト。

母・成子さん「私の中では、うちの子どもは胃腸が弱くてビクビクする方だけど、人生楽しみたいタイプ。で、ゲイ。4つ目か5つ目のアイデンティティー。そこ(LGBT)にとらわれていて」

──考え方次第で気持ちも楽になるかもしれないし、人生も変わるかもしれない。

息子・松岡さん「自分もセクシャリティーを過度に大きいものと捉えていた。カミングアウトして受け入れられた時に、松岡宗嗣という人間の“ゲイ”という部分は、あくまで属性の一つでしかない。(母に)気づかせてもらって、そこからカミングアウトのハードルが下がった」

息子・松岡さん「なぜ、そう捉えていたかというと、社会にまだまだ、すごく偏見や差別が残っているから大きいものと捉えてしまう」

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やがて成子さんは、偏見や差別に悩む性的マイノリティーの家族たちから話を聞いていくうちに、こんな問題点に気づいたといいます。

母・成子さん「カミングアウトを受けた親の話を聞くと、カミングアウトされる2秒前まで想定していない。とっさに『やめてよ、気持ち悪い』とか『あなた、そんなんじゃないわよ』と言ったり。言った後、もう一回聞いたら『そんなこと言ってない』という親御さんも多くて。とっさすぎて記憶にない」

母・成子さん「親もロールモデル(模範)がいない。世代が上にいけばいくほど、あまり言えない社会だと思うので、私たちの世代がやらなければいけないことは、今の30代40代の子どもを育てる親たちのロールモデルでありたい」

自分の体験談が悩む家族へのヒントになれば。そんな思いで今、息子と協力しながら情報を発信しています。

──カミングアウトされてお母さまが応援してくれるようになったのは、心強いですか?

息子・松岡さん「心強いです。勇気につながりますよね。自分の居場所がさらに安心できる場所になった」

母・成子さん「親として最後の砦(とりで)でありたい。その時には連絡してねって思っているけど。全然、電話かかってこないけど。どう思います?って感じです」

──とてもすてきな関係性だなと思って、ちょっと私がウルウルしてきちゃった。考え方がすてきすぎて。もっと連絡してあげてください!

息子・松岡さん「はい、連絡します」

母・成子さん「本当ですよ!」