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その哭き声が聞こえるか 避難区域の動物達

2020年9月25日 17:12
その哭き声が聞こえるか 避難区域の動物達

人が消えた町の主人は動物たちになっていました。

福島・富岡町の農家「人がいないので動物天国になってるってことですよね」

かつて家族の一員だったペットたちと人との関係も大きく変わっていました。

ペットの保護活動をする赤間徹さん「猫なんかも普通だったら寄って来るはずなんですよ。それが人間を遠ざけて離れていくという。今まで一緒にいてね、もう何年も一緒に暮らしてて、その関係が(原発事故で)本当に一瞬で壊れたっていう感じですよね」

赤間徹さんは、避難先からおよそ80キロ離れた浪江町に毎日通っています。町の許可を得て、避難区域に取り残されたペットの保護に取り組んでいます。

貯金を取り崩して犬や猫の保護を続ける赤間さん。自宅には100匹以上の犬や猫がいます。原発事故の直後に見た、悲しい光景。それが保護活動の原点でした。

赤間さん「爆発したときにバスで逃げるっていう話になったのね。そのバスに乗るときに動物は駄目だってことになって。『そこで放してください』って言われて、もう飼い主が泣きながら『誰かもらってくれないですか?』とか、そういう光景もあったし、もうそこで放した飼い主もいるし」

避難の混乱の中、飼い主とペットに訪れた突然の別れ。避難区域に置き去りにせざるを得なかったペットの数が数千匹にのぼるとみられます。そして残されたペットたちは繁殖を繰り返し、人を知らない世代が次々と生まれます。

赤間さんはこの5年の間、変わっていくペットを目の当たりにしてきました。

赤間さん「入っている、三毛猫ですね」

人を知らない若い猫。ペットは野生化していました。

赤間さん「誰も保護しないで黙っていれば、なんぼでも増えていきますから。保護して避妊去勢しないと住民が帰って来たときにこういう動物、犬猫に困らない様にということで始めている」

保護した犬や猫には去勢や避妊の手術を行います。

獣医師・豊田正さん「(猫は繁殖力が高い?)猫は1年に3回から4回繁殖する。3か月に1回ぐらい発情する」

国は保護活動をもう行っていません。ペットが人と再び暮らすために赤間さんの保護活動は続きます。避難指示は次々と解除されていきます。

動物たちの居場所は…。

※福島中央テレビで制作したものをリメイク。2016年12月放送、NNNドキュメント「その哭き声が聞こえるか~避難区域の動物たち~」より。

【the SOCIAL×NNNドキュメントより】