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菅新総裁 中国メディアの反応は

2020年9月15日 20:30
菅新総裁 中国メディアの反応は

自民党新総裁に選出された菅義偉氏。中国のメディアは日本の新しいリーダーの選出を「大衆と距離が近い」などと全体的に好意的とも言える内容で報じています。その背景には何があるのか。日中関係の今後は――。現地からの報告です。

【要約】
・中国メディアは菅氏の選出を生い立ち含めて詳しく報道
・好意的な内容の背景には、米中対立の中で日本を味方にしたいとの思惑も
・一方で中国の専門家は悪化傾向にある日中関係は「大きく好転はしないだろう」と分析

■中国メディア「大衆と距離が近い」と菅氏を紹介

中国メディアは総裁選の結果を一斉に速報で伝えました。

また、中国国営テレビは、決定直後に13分以上も特集を組んで、農家出身などの菅氏の経歴を詳しく紹介し、「大衆と距離が近い」と持ち上げたほか、官房長官の経験が豊富なことで「内政では多くの問題に余裕を持って対処するだろう」と評価する専門家の分析も伝えました。

全体的に「好意的」とも言える報道が多い背景には、中国側としては米中対立が深まる中で日本との関係は良好でありたい、さらに言えば日本を味方につけておきたい、という思惑があります。

こうした中、中国の市民は、菅氏について知っている人という人は少ないものの、関係改善に期待を示す声が多く聞かれました。

女性「(菅氏を知っている?)知らない。平和に共存し両国民が穏やかに暮らせるようにしてほしい」

男性「日中両国が引き続き友好関係を維持していくことは重要だ」

■専門家「“菅カラー”の対中政策がない」

一方、中国の専門家は、いまの日中関係はここ数年の改善傾向から再び悪化の傾向にあるとした上で、菅氏が総理大臣になっても少なくともこの1年は好転することはないだろうとの見方を示しています。

日中関係に詳しい清華大学の劉江永教授はこう話します。

「ことし3月以降、日本で新型コロナが流行し、米中関係も悪化をしてから、安倍内閣の対中政策は後退の傾向が見えてきている。菅内閣は対内外政策で安倍内閣の基本主張を継続していくだろう」

「菅さんのこれからの1年間、大きな好転は無いと思う。なぜかというと、彼には独立した“菅カラー”の対中政策が無いからである。両国間の問題も非常に解決しがたいものであるからだ」

劉教授は、東シナ海情勢などの問題は簡単には解決できないとした上で、「日中間の国民感情を改善することが必要だ」として、新型コロナ対策で協力することがその助けになると主張しました。

また、延期となっている習近平国家主席の訪日を菅氏が実現する意思があるのかも重要だとしています。

ただ、日本側としては中国公船の沖縄県尖閣諸島への領海侵入など圧力を強めているのは中国側だという認識があり、日本のリーダーが変わっても日中関係が改善に向かうかは不透明です。