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海水温“かつてない高さ”食卓にも影響が…

2020年9月7日 19:09
海水温“かつてない高さ”食卓にも影響が…

かつてないほどの海水温の高さで、さまざまな“異変”が生じています。海水温の高さは台風が勢力を増す要因ともなっていますが、今が旬の「海の幸」など、食卓にも影響が及びそうです。

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北海道、えりも町。先週解禁されたのが、北海道が誇る味覚「秋サケ」の定置網漁です。しかし、今年はある異変が起きているのです。

去年、その秋サケ漁が解禁された初日の様子。とがった顔が特徴、秋サケが続々と水揚げされていました。

しかし、今年水揚げされた魚の顔には「丸み」が。そう、実はこの魚―。

えりも町定置網部会・佐藤勝部会長「ほとんどブリだったね。どこもそうみたい」

とれたのはサケではなく、ブリ。比較的暖かい海を好むとされるブリが、北海道の海で大量に水揚げされているのです。原因と考えられているのが―。

えりも町定置網部会・佐藤勝部会長「きょうは20度近いわ。ブリがいるっていうことは水温が高いっていうことだから」

日本の近海では今なお、海面水温が30度ほどのところも。8月は、観測史上最高となった異常な水温の高さです。

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その影響はあの魚にも。日本の秋の味覚の代表格「サンマ」です。

都内にある居酒屋では、ランチタイムに「生サンマの塩焼き」や「刺し身」の定食を提供。お客さんは満足そうですが、その仕入れ値は―。

居酒屋秋刀魚・山風呂秀一料理長「1本で650円くらい。値段的には倍しますよね」

水産庁の研究所は、もともと資源が少ない上、冷たい水を好むサンマが、今シーズンは日本近海に近寄っていないと指摘。少なくとも10月中旬まで、漁獲量が少ない状況が続くとしています。

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まばゆい光を放つ真珠。全国有数の産地、三重県の英虞湾でも海の異変が起きています。

真珠の原材料となるアコヤガイの養殖場では―。

田辺真珠養殖場・田辺伴一さん「いつもだとカゴいっぱいに入っているんですけど。こんな状態ですね。(Q.いつものどれくらい?)いつもの3分の1ですね」

稚貝と呼ばれる生まれて1年以内のアコヤガイ。その7割ほどが死んでしまったというのです。さらに―。

田辺真珠養殖場・田辺伴一さん「みんな同業者は悩んでいます」

稚貝の大量死は周辺の養殖場でも。

三重県の水産研究所の調査によりますと、稚貝は通常この時期15%程度しか死なないのですが、今年はすでに44%、例年の3倍近くが死んでしまっているのです。

専門家は、はっきりとした原因はわからないとしながらも。

三重県水産研究所・青木秀夫課長「5月以降、海水温が平年よりも高かったり、あるいはエサとなるプランクトンの数が少ないという状況が続いていましたので、そういったことがへい死の要因となっているのではないかと考えております」

気象庁は、9月いっぱい日本の近海では、海面水温が平年よりかなり高いと予測。影響の拡大が心配されます。