大崎事件「やっちょらん」 始まらない再審
殺人犯として10年服役した93歳の原口アヤ子さんと
武田佐俊さん「この裁判は勝たなくちゃいけないんだよ」
無実を信じ、支援を続ける男性。
残された時間は、長くはありません。
大崎事件。1979年、原口さんの義理の弟の遺体が牛小屋から見つかりました。警察は原口さんと夫、親族ら4人を逮捕。原口さん以外の3人には知的障害があり、後に全員が「自白を強要された」と明かしています。
原口さんは一貫して無実を訴えましたが、3人の自白が決めてとなり、53歳の時、懲役10年の刑が確定し服役しました。
出所後、裁判のやり直し“再審”を請求。
記者「再審開始決定です」
その度に上級審で取り消され、いまだ再審は始まっていません。
原口さん「私はこのやっていない罪を受けて死ぬことはできません」
「迷惑をかけたくない」と家族や親せきから距離をおき、一人で生活していた原口さん。
武田さん「元気だった?」
事件から40年以上過ぎ、原口さんは93歳になりました。
世話役を買って出たのが、武田佐俊さん。10年以上、原口さんの支援を続けています。
武田さん「罪のない人が罪に陥れられるということの不正というのは正さなければならない気がする。この事件を見届けなければならない。それが彼女への寄り添い方というか関わり方」
武田さん「これは誰?」
(原口さんが自分を指さす)
武田さん「今日は分かるね。原口アヤ子さんだよ」
認知症の症状が現れ、入院生活を送る原口さん。
武田さん「原口アヤ子さんにずっと寄り添ってきたことからすると、ある意味で悩みも苦しみも共有してきたという感じがしますよね。決して無駄な時間ではなかった」
武田さんは今も街頭に立ち、原口さんの無実を訴えています。
武田さん「いつか分かりますよ皆…分かりますよ」
原口さんもいつも話していました。
「あたいはやっちょらん」
※鹿児島読売テレビで制作したものをリメイク。2020年2月放送、NNNドキュメント50周年特番「あなたは、いま幸せですか?」より。
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】