×

福島第一原発3号機爆発は「複数回」新仮説

2020年9月3日 18:11
福島第一原発3号機爆発は「複数回」新仮説

2011年に起きた福島第一原発事故について検証する原子力規制委員会の会合が3日午後に開かれました。そこで、3号機で起きた爆発について、これまで1度の爆発と考えられていましたが、複数回の爆発だったという新たな仮説が示されました。



2011年3月、東日本大震災の中で起きた東京電力・福島第一原発事故。メルトダウンした核燃料から発生した水素が格納容器から漏れ、1号機と3号機が相次いで大規模な爆発。敷地外に大量の放射性物質を放出する事故に至りました。

(2011年3月14日 東京電力のテレビ会議)東京電力 福島第一原発 吉田昌郎所長(当時)「本店、本店、大変です、大変です、3号機、爆発が今起こりました」

福島中央テレビが唯一撮影していたこの映像。爆発の詳細はこれまで分かっていませんでした。事故からまもなく9年半。調査を行ってきた原子力規制庁の検証チームが、3日、「1号機が1度の爆発だったのに対して3号機は複数の爆発に分かれていた」とする新たな仮説を発表したのです。

原子力規制庁・安井正也交渉官「3号機の水素爆発は1号機のような単一爆発というよりは、2段階以上の複数段階の事象だったのではないかというのが今回の投げかけ」

事故をめぐってはこれまでいろいろな調査が行われてきましたが、3号機の爆発を詳細に分析したものはなく、当然1度だと考えられていました。

原子炉建屋最上階の5階で爆発が起き、4階より下にも爆風が広がったと推測されていたのです。

しかし、3日に示された仮説では、まず、原子炉建屋4階の北西部で爆発が起き、南東の天井部に裂け目ができて、炎が出たと指摘。そして、2段階めの爆発で天井中央から煙が吹き上がったとされました。

根拠の1つとして示されたのは、日本テレビが最新の技術で処理を行った画像。元の画質と比べると、炎の位置や色がよく分かります。

原子力規制庁・金子修一審議官「3号機の炎が出たコマについてです。こちらのほうが建物の形が見えやすいかと思います」

さらに。

金子審議官「上にある黒い色調の煙の形がより丸い楕円(だえん)型でくっきりと外縁がうつる形の色に見えています。下の方の白との差もよりわかりやすい形になっているかと」

こうした画像処理の進展に加え、現場の放射線量が下がって短時間なら建屋に入れるようになったことで、あの爆発の詳細を調査できるようになってきました。

今後さらに分析を重ね、今回の仮説が正しいか検証したいとしています。結果によっては、再稼働のために他の原発でとられてきた対策も見直す必要が生じる可能性があります。