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【解説】“ポスト安倍”候補 どんな人物?

2020年8月31日 20:14
【解説】“ポスト安倍”候補 どんな人物?

安倍総理の突然の辞意表明から3日。ポスト安倍をめぐる攻防が激しくなってきました。主な候補はどんな人物なのか、解説します。

■注目される4人の候補

「ポスト安倍」の主な候補として現在名前が挙がっているのが、菅官房長官、岸田政調会長、石破元幹事長、河野防衛大臣です。

それぞれどのような人物なのか、簡単なプロフィールをご紹介します。

●菅官房長官(71)

第二次安倍政権の発足当初から、官房長官として安倍総理を支えた、いわば“女房役”です。2019年4月に新元号「令和」を発表し、「令和おじさん」の愛称で知名度を上げました。

●岸田政調会長(63)

安倍総理とは同期。安倍政権の下で外務大臣として、アメリカのオバマ大統領の広島訪問の実現に尽力しました。ただ、国民的な知名度が低く、発信力やリーダーシップにやや課題があると言われています。

●石破元幹事長(63)

2012年と2018年に自民党総裁選で安倍総理と争いましたが、いずれも敗北しています。政界屈指のアイドル通、鉄道ファンとしても知られています。世論調査では高い人気を誇りますが、党内基盤が弱いのが弱点と言われています。

●河野太郎(57)

父親は河野洋平氏。安倍政権で外務大臣、防衛大臣を務めています。アメリカ留学経験があり、英語力には定評があります。1日に何度もツイッターを更新するなど、情報発信にも力を入れています。

■ポスト安倍 それぞれの動き

この中でも注目は、菅官房長官です。これまで出馬は「考えていない」と話していましたが、一転して自民党総裁選への立候補の意向を固めています。

今回は任期途中で安倍総理が辞任する緊急事態です。さらに「コロナ対応」の手を緩めるわけにもいかないということで、党内からは「継続性の観点から後継には官房長官の菅氏が望ましい」という声も広がっているのです。菅官房長官自身も「コロナ対策を継続するには自分がやるしかない」と話しています。

そして、今回選ばれる総裁は安倍総裁の残りの任期1年を引き継ぐ形です。自民党内には「暫定政権だからみんなで菅さんを1年間支えるべき」という声もあるのです。

菅官房長官は、総裁選のやり方が決まり次第、すみやかに正式に出馬表明する見通しです。

一方の岸田政調会長は、31日、安倍総理と面会した後に記者団に対して次ぎのように述べました。

岸田政調会長
「特段は…ご挨拶ですから新しいことはありません。改めてご挨拶しました。お力添えをお願いしました」

30日には、麻生副総理や党内最大派閥の会長・細田元幹事長、森元総理とも相次いで会談するなど、支持拡大にむけて活動を本格化しています。

石破元幹事長も立候補に意欲を示しています。30日、自らの派閥の議員と会合を開き、情勢分析を行いました。

■新たな総裁どう決める?

通常だと新総裁は、全国の自民党員と国会議員の投票で選ばれるわけですが、今回は緊急のため全国の党員による投票を行わず、両院議員総会を開き、都道府県支部と国会議員だけが投票を行い決める方向で調整が進んでいます。

世論調査では、「ポスト安倍」として石破元幹事長の人気が高いのですが、両院議員総会だと地方の声の反映が少なくなります。この形だと、石破元幹事長には不利となり、菅長官に有利な環境となると見られています。

こうした背景もあり、石破元幹事長は「総裁選では党員投票を実施すべき」との考えを主張しています。

石破元幹事長
「(日本の将来の)選択肢を、党を支えている党員に示すということは、それは責任でしょう。国会議員だけの党じゃない」

■任期途中の退任 過去の例は?

総理大臣が任期途中に病気で退任したケースとしては、まず第一次安倍内閣のときの安倍総理です。

2007年7月の参院選で大敗しながらも続投を決意しましたが、その2か月後、「健康上の問題」を理由に退陣。両院議員総会で福田元官房長官が総裁に選ばれ、その後総理大臣になりました。

また、2000年には当時の小渕総理が脳梗塞で倒れました。後任には当時の森喜朗幹事長が総理になったのですが、このときには自民党の5人の幹部が“密室”で決めたとされ、批判の声があがりました。

こうした過去もあり、全国の党員が投票しない選出方法に対しては反対の声があがっています。自民党の若手議員が中心となり、党員投票を求める署名を自民党幹部に提出する予定です。100人以上集まっており、小泉進次郎大臣もこの動きに同調しています。

ただ、自民党執行部としてはコロナ禍の緊急事態のため、やり方は変えないとみられています。

新総裁をどう決めるかは、9月1日に正式に決まる見通しです。ただ、緊急時を理由に党員の声を反映する機会が奪われるのだとしたら、自民党内の論理を優先したとみられても仕方ありません。両院議員総会での選出が適正なのか、しっかり見極める必要があります。

(2020年8月31日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)