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2店舗の味が同時に…苦境の外食で新戦略

2020年8月27日 19:39
2店舗の味が同時に…苦境の外食で新戦略

外食業界で今、新たな戦略が続々と打ち出されています。居酒屋とイタリアン、2つの店のメニューが同時に味わえる店や、巣ごもり需要を意識した初めての試みをする店も。その工夫とは。

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■“非接触”1タッチで自分好みにオーダー

彩り豊かなサラダと肉汁あふれるハンバーグが盛り付けられたハンバーグディッシュ。「ディッシャーズ」はレストランチェーン「びっくりドンキー」の新しい業態。何が新しいのかというと、注文スタイルに特徴があるんです。

岩永岳大記者「こちらのタブレットで、ハンバーグの枚数やトッピングなどを選ぶと、それが画面に出てくるので、完成した料理をイメージしながら注文することができます」

例えば「フルカスタム」を選ぶと、ハンバーグの枚数やチーズ、目玉焼きなどのトッピングの種類、さらにライスやサラダの量などを自分好みにアレンジすることができます。タブレットで注文するため、店員との接触は料理を配膳するときだけ。会計のとき、料理と一緒に届くQRコードを精算機にかざして、現金か電子マネーで支払うため、“人との接触”は最小限になっています。

アレフ(ディッシャーズを運営)業態開発リーダー・辻道拓央さん「かなり人との距離を保ちやすいようなつくりになっているので、今の時代にすごくマッチした業態になったのではないかと」

また、店員の数を少なくできるメリットも。今後、外食が苦境のコロナ禍でも、家賃の高い都心部の駅前などに進出していく方針です。


■巣ごもり需要に…モスが初のテイクアウト専門店

一方、接触を避けるため、大胆な戦略に出た店も。

長谷部里紗記者「こちらの店舗、スーパーの中にあり、座席を設置しないテイクアウト専門店になっています」

27日にオープンした「モスバーガー」初のテイクアウト専門店です。座席を置かず、メニュー構成を通常の6割ほどに絞ったことで、出店コストも約3割削減できるといいます。コロナ禍でテイクアウト需要が高まる中、コストを抑えつつ売り上げアップを狙っています。

モスフードサービス ストア事業開発部・吉澤友佳さん「(コロナ後に)売り上げの約7割がテイクアウト需要になっております」「省コスト・省スペースで、従来の店舗と同等の収益を見込めるのではないかと考えています」

実は、その隣には去年11月、「ケンタッキー・フライド・チキン」もテイクアウト専門店をオープン。テイクアウト需要を取り込み、コロナ禍でも順調に売り上げを伸ばしています。


■居酒屋とイタリアン 2店舗の料理を同時に!

さらに意外な方法で需要を取り込もうという動きも。

店員「はい、いらっしゃいませ。甘太郎のご利用ですか? ラパウザのご利用ですか?」

利用客「ラパウザで」

なぜか2つの店の名前を挙げる店員。実はこの店、居酒屋とイタリアン、2つの店が同居しているのです。2つの店のつくりは共通。そのため、居酒屋として利用しても、イタリアンで人気のピザなどを注文することができ、2つの店のメニューを同時に味わうことができるのです。

利用客「きょうまさに食べるものの意見が分かれて、それぞれの気分で食べたいものを選べるのは、いいと思いました」

この居酒屋もイタリアンも親会社は同じ大手飲食チェーンです。

レインズインターナショナル CWカンパニー運営本部・渡邊裕介副本部長「コロナ後、居酒屋が特に、売り上げに影響がありまして。そのスペースを有効活用して、お客様に来てもらおうとやっております」

2つの店を1か所で営業することで、家賃などのコストを下げ、両方の店の客層をつかむ「一石二鳥」の新戦略だといいます。他にも「リモート飲み会専用席」や、宴会のコース料理で串焼きなどの大皿料理を1人前ずつに盛り付けるなど、「コロナ後」を見据えた店づくりを進めています。

コロナ禍で苦境が続く外食業界。今後も新たな形の店が生まれてきそうです。