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マスク、ついたて、換気「富岳」が効果測定

2020年8月25日 20:43
マスク、ついたて、換気「富岳」が効果測定

■マスク:素材にこだわらず、つけることが大事

まずは「マスク」から見ていきます。不織布、綿、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンなど、色々な素材のマスクが売られていますが素材によって、どれだけ効果に違いがあるのでしょうか。不織布、綿、ポリエステルについて、研究結果がでました。

不織布のマスクをつけて咳をした際の飛沫が飛び散る様子をみてみます。青色の粒子がマスクを通り抜けた飛沫。黄色がマスクの隙間から漏れた飛沫。赤色は顔に付着した飛沫を示しています。マスクを通り抜ける青い粒子は少ないものの、隙間から漏れた黄色い粒子が多くなっています。

一方、綿の手作りマスク。マスクを通り抜ける青い粒子が多いことがわかります。不織布よりも、やはり綿のマスクの方が、飛沫が漏れる量が多いことがわかります。

解析の結果が出ています。自分が出す飛沫の拡散を防ぐ効果は、不織布は約8割だといいます。ポリエステルのマスクで調べても約8割防げていました。綿のマスクは約7割の効果があったということです。差は1割しかなく、同じぐらいの感染への抑止力があったということです。

研究チームは「不織布にこだわらずにつけてもらうことが大事」だと話しています。今は暑いため、マスクの素材を気にしますが、つけることに意味がある、と話しました。

■マスクは「自分を守る」ためにも有益

もうひとつ、分かったことがあります。マスクは自分の飛沫を飛ばして人に感染させないようにするため、と考えられていました。しかし、今回の研究で、自分が吸い込む方の飛沫も防ぐことが分かりました。

不織布のマスクをしっかり密着してつけた場合、ほぼブロックできるということが分かっています。小さい飛沫だと隙間からどうしても入るものの、一定の効果はあるということです。

■パーティション:140センチ以上で効果

続いて、レストランやオフィスで使われている「パーティション」、いわゆる「つい立て」はどうでしょうか。

床からの高さが120センチのつい立てだと、咳をした時に飛沫が向かい側まで広がっています。一方、140センチだとついたての中だけで飛沫がおさえられています。

机や椅子の高さにもよりますが、研究データが想定した床から120センチは相手の口元が隠れる高さ。140センチは頭が隠れる高さ。140センチの方が、効果があるという結果でした。

なお、140センチ以上でも実験していますが、効果は変わりませんでした。ただ、ついたてがあると空気が悪くなるため、換気も大事です。

■換気:エアコンの対角に窓を開けるだけでも効果

「換気」についての実験もあります。40人の生徒が教室でエアコンを使っている想定で実験を行いました。廊下側の扉とその対角にある窓を、それぞれ20センチあけた場合、室内の空気が入れ替わるのにかかった時間は8分程度でした。

20センチはわずかですが、この換気量は一般的なオフィスと同じです。つまり、エアコンを使っていて窓を全開にするのは抵抗があるという方も、少しだけ対角に窓を開けるだけでも、換気できるということ覚えていただきたいです。

今回研究に使われた「富岳」は計算速度がきわめて早く、同時に何百例もの飛沫の流れを現在もシミュレーションしているそうです。こうした研究成果を、現場のコロナ対策に最大限に生かしていくことも必要です。

(2020年8月25日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)