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東京五輪「暑さ」どう対策 キーマンに聞く

2020年8月24日 16:39
東京五輪「暑さ」どう対策 キーマンに聞く

来年に延期された東京オリンピック・パラリンピック。前例のない延期決定に今後はギモンだらけ。大会期間の「暑さ」もその一つ。酷暑の夏をどう乗り切るのか。大会組織委員会の中村英正GDOに聞いた。


■はっぴ姿で大会盛り上げ

中村英正GDOのトレードマークは“はっぴ姿”リオデジャネイロ五輪の後から必ずこの姿で仕事にあたっている。

「前向きに明るい気持ちで仕事をしたいし周りにも効果があると思って着続けています。何やってるんだという声もありますがしつこく着続けて。来年夏まで着続けようと思っています」

GDOとは「ゲームズ・デリバリーオフィサー」の略。大会組織委員会には大会準備・スポーツ局・警備・輸送など様々な部局があり、その横串をさすのが中村GDOの役割だ。


■酷暑の夏…どう乗り切る?史上最も暑い大会に

東京は、連日体温を超える暑さに見舞われている。オリンピック・パラリンピックの開催時期も暑さは課題となる。去年夏、大会組織委員会は屋外競技のテストイベントを中心に日よけテント、ミスト、さらには人工雪を降らせて冷却効果を見るなど検証を重ねてきた。

「暑い暑いとわかっていてもテストイベントにいくと帽子を忘れたとかそういう方がいらっしゃる。暑さ対策5か条みたいな形で事前にアナウンスすることが大事だというのが勉強になりました」

東京大会は、五輪で初めて熱中症対策のためペットボトル飲料が条件付きで持ち込み可能となる。

「これまで大会では基本的に飲み物持ち込みはできなかったんです。暑さが相当深刻だということで一定の条件をもとに持ち込みということにさせていただきました。折りたたみの日傘も必要だろうということでIOCとかと調整してOKとしていただいたり。東京大会には東京大会の特性があるので丁寧に説明してひとつひとつ解決していく」


■「新型コロナ」と「暑さ」は現場百ぺん

来年は、「暑さ」に加え「新型コロナウイルス」という大きな課題がのしかかる。大会組織委員会はJリーグやプロ野球海外のスポーツイベントの感染症対策を参考に今後対策を練っていく。実際に会場に赴き、ことしもシミュレーションを行っているという。

「現場百ぺんではありませんが、やって損はないのでできるだけそういう機会は活用しなければならない。待ち時間や動線を確認するとか。秋からコロナ対策の検討が個別に始まってまいりますのでそのときに今一度現場をみて暑さも感じてコロナを考える。より机上の空論ではなくて実際的な検討ができるんじゃないか」


■ときにIOCとけんかも

延期が決まる前まではIOC(国際オリンピック委員会)やIPC(国際パラリンピック委員会)が過去大会をもとに大会までの道筋をたて先導ランナーのような存在だったが今は史上初の延期となりマニュアルがない状況だ。これまでの先導ランナーは伴走者となったという。

「IOCだけじゃないが口げんかばっかり。けんかというのはちょっとまあうけをねらった表現で、議論は真剣にやってこそいいものがうまれる。スポーツもなれあいでやるといい結果って出ませんしエキサイトもしないオリパラの準備だけにより大事じゃないかと思っています」


■3つのステップ「大会の骨格」「簡素化」「コロナ対策」

中村GDOが語る1年後の大会に向けた3つのステップ。1つは、会場・競技スケジュールという「骨格の確定」。2つめは「簡素化」9月末の調整委員会や理事会を目途に現在調整中だ。そして3つめが秋から検討が始まる「コロナ対策」年内にその骨格をつくるという。

「コロナの状況がきちんとよい方向に向かいまして来年大会ができれば世界中の人々が同じような苦労を乗り越えてこの大会に行きついたという形にしていく。準備は時間限られていますので我々はしっかりやっていきたい」

◇◇◇
【シリーズ「東京五輪・パラのギモン」】
来年に延期された東京オリンピック・パラリンピック。前例のない延期決定に今後はギモンだらけ。大会運営を取り仕切る大会組織委員会のキーマンたちに話を聞く。