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酷暑いつまで?浜松で41.1℃の理由

2020年8月18日 21:24
酷暑いつまで?浜松で41.1℃の理由

危険な暑さが続いています。17日は、日本の観測史上最高タイの41.1℃を浜松で記録しました。なぜ浜松でここまで気温が上がったのか解説します。

■屋外より室内で多い 熱中症による死亡

18日、東京都で新たに確認された感染者は207人でした。重症者は17日から4人増え、31人になっています。

そして、18日も厳しい暑さが続いています。東京では午前9時前から気温が30℃を超え、12時に33.8℃になりました。他にも、高知県江川崎で39.4℃、宮崎県都城でも同じく39.4℃の猛暑となりました。

熱中症が本当に深刻な状況になっています。東京消防庁の管内で17日に熱中症と見られる症状で搬送された人は339人と、ことし最多となりました。年齢は9~98歳までと幅広く、重篤が3人、重症が14人です。18日も、午後3時時点の速報値で100人が熱中症の疑いで搬送されています。

熱中症で亡くなる人も出ています。17日、埼玉県寄居町では94歳の男性が熱中症で亡くなりました。午前7時前に自宅の寝室で倒れているのを60代の息子が発見。発見された時、室内の温度は32℃あったということです。扇風機2台が回っていましたが、エアコンは使われていませんでした。

8月2日から17日までに、東京23区内で79人が熱中症で亡くなっていることが分かりました。年代別で見ると、80代が31人と最も多く、やはり高齢者は気をつけなければいけません。そして、79人のうち室内で亡くなった方は75人と、屋外より圧倒的に多いです。そして、室内で亡くなった方の実に87%の人がエアコンを使っていませんでした。

■「屋根で餃子が焼けそう」浜松で41.1℃ なぜ?

こうした中、17日は国内で観測史上最高の気温が記録されました。観測されたのは静岡県浜松市で、気温は41.1℃。午後0時10分に記録しました。浜松と言えば、うなぎやギョーザの街。ギョーザの年間購入額ナンバーワンをかけて、栃木の宇都宮市と熱い闘いを繰り広げていますが、気温でそんなに暑いイメージはないですよね。

日本の「暑い街」と言うと、同じく41.1℃を記録したことのある埼玉県熊谷市ですよね。2018年には岐阜県美濃市や下呂市、高知県四万十市でも41℃を記録しており、6位の多治見市も暑い街のイメージがあります。

浜松市は今年になって急上昇しています。浜松市天竜区でも16日に40.9℃を記録し、17日に中区で最高記録と、最も暑い街になっています。ネット上では「屋根で餃子が焼けそう」という声もありました。

■浜松で気温が上昇した3つの理由

では、なぜ浜松がここまで暑くなったのでしょうか。興味深い理由が見えてきました。地図で位置を確認すると、41.1℃を記録した浜松市は17日、日本海方面から北西の風が吹いていました。暑さに影響したとみられる現象の1つは、岐阜県と滋賀県にまたがる伊吹山地が関係しているといいます。伊吹山地と浜松市はだいぶ距離がありますが、この遠さにも理由があるのです。

猛暑のメカニズムに詳しい産業技術総合研究所の高根雄也さんによりますと、影響したとみられる現象の1つは「フェーン現象」。これは暖かい空気が風に乗り、吹き降りることでさらに気温が高まる現象ですが、高度が100メートル下がるごとに気温が約1℃上がります。

このフェーン現象、日本語では当て字で「風炎」と表現するそうです。日本海側から伊吹山地を越えた風でフェーン現象が起き、地上付近の気温が上がったといいます。

しかし、今回の40℃超えはフェーン現象だけでは説明できません。伊吹山地の先に濃尾平野がありますが、ここは連日の晴天で地表の温度が上がっており、土壌が非常に乾いていました。さらに、風の通り道には名古屋市があります。ここで、都市部の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」が起きたのではないかといいます。

そのようにして温度の高くなった風が、「北西の風の終着点」である浜松まで押し寄せます。そして、浜松の東側では海風が吹いているため、熱い風がブロックされたというわけです。そうしたことから、浜松で今回、最高気温になったのではないかということです。フェーン現象と濃尾平野の高温、ヒートアイランドの「トリプルパンチ」が起きたのではないか、ということです。

では、この過酷な暑さはいつまで続くのでしょうか。

気象予報士によると、西日本から東日本にかけてこの体温並の暑さは今がピークで、20日から21日までピークが続く予想だということです。

その後は真夏の気温に戻り、暑いことには暑いですが、40℃に迫るようなことはないのではないか、とのことでした。エアコンや水分補給で熱中症から命を守ってください。

(2020年8月18日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)