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“GoTo”ドタバタ船出 業界から批判も

2020年7月21日 21:04
“GoTo”ドタバタ船出 業界から批判も

「GoToトラベル」が22日から始まりますが、前日の21日になってキャンセル料などの詳細がようやく発表されました。

しかし、こうした中も新型コロナウイルス感染拡大の勢いが収まっていません。

■増える40代以上の感染

21日、東京の新規感染者は237人でした。19日、20日は200人を下回っていましたが、3日ぶりに200人を超えました。 

感染者の内訳でやはり圧倒的に多いのは20代、30代ですが、“夜の街”関連が多く、行動歴や感染経路も比較的はっきりしています。また、10代以下や80代以上も、ほとんどが家庭内や施設内感染で感染経路が分かりやすいです。

一方、最近40代以上の感染が増えています。特に40代と50代の男性の感染経路が分からない傾向があります。7月9日~17日の約1週間で、7割ほどが経路不明だった時もあります。行動歴を言わない人もいますし、仕事にも行くため、行動範囲が広い世代なので感染リスクも高いということで、東京都も40代以上の増加を危惧しています。

感染経路見てみると、“夜の街”関連と並んで多かったのが“家庭内”の感染です。22人のうち半数が20代、30代ですが、同居の友人や恋人からの感染が多いです。

■“GoTo”ドタバタの経緯

そして21日、国土交通省はGoToトラベルのキャンセル料について詳細を発表しました。

まず、旅行客は「キャンセル料を払わない」というルールになりました。もしすでに払っている人がいる場合は、すみやかに返金をする、というシステムです。つまり、客側はキャンセルしても負担はありません。

しかし、これでは旅行業者が負担をかぶることになるため、業者には国が「実損相当額」を補償することになりました。

「実損相当額」とは、手配していた食材費やキャンセルにかかった事務的な経費。つまり、実際にかかった費用のみということです。 キャンセル料全額を業者に対して補償することはないとしています。

このキャンセル料補償の対象となるケースはどういったものでしょうか。

東京都民が申し込んだり、東京が目的地となっている旅行です。対象となる期間は、7月10日から17日までの予約分です。

7月10日はGoToトラベルの前倒しが発表された日であり、そこから東京除外が公表された17日までに予約した人ということです。つまり、以前からたまたま旅行申し込んでいてGoToトラベルの該当になった人は、政府の影響を受けていないため対象外ということになります。

■ドタバタに「旅行業界」からも批判の声

この政府の対応には、ドタバタしすぎという批判の声が高まっています。

そもそも、GoToトラベルについては4月7日に閣議決定しました。そこには「感染の収束後に実施する」と書かれており、実施の時期も8月からとされていました。それが、7月10日になって、7月22日からの前倒しが発表されます。これは4連休があるという理由でした。

ところが、17日になり急遽「東京除外」を公表します。その時政府は「キャンセル料の補償は行わない」と明言しましたが、21日になって「キャンセル料を補償する、旅行客は払わなくていい。旅行業者に実損分を補償する」と方針がコロコロ変わってきました。 

政府の方針に振り回された形の旅行業界ですが、大手旅行代理店従業員からは「もう現場を巻き込まないで欲しい。やるんだったら政府でやってくれ」という声が上がっています。

GoToトラベルには予算1兆3500億円投じますが、今回のキャンセル料の補償はこの税金から出されます。元々観光産業を支援する目的のはずが、政府の判断を急に変えたことで、キャンセル料に税金を投じることになりました。

これについて、担当の赤羽国交大臣は「全体としてGoToトラベル事業を円滑に進めるための必要な費用だと思っている」と述べています。

金額の多寡にかかわらず、誰がどのような決定をしてここに至ったのかはきちんと説明する必要があります。

■「団体旅行」の基準は?

さらに21日、GoToトラベルでこんな発表もありました。

すでに、若者や高齢者、宴会を伴うなど、団体での旅行はできるだけ控えてほしいという呼びかけがされていますが、基準がよく分からないという声があり、21日、それぞれの具体的な例が示されました。

まず「若者の団体旅行」です。

往復とも貸し切りバスに満員で乗車し、密閉空間で食事、大人数で雑魚寝するような旅行です。

次に「高齢者の団体旅行」です。

互いに密接し、マスクを着けず大きな声で会話しながらの移動や食事をするような旅行。

そして、「大人数の宴会を伴う旅行」です。

換気の悪い宴会場で、多数の人が密接状態で宴会する、などが挙げられます。

「このような旅行は支援の対象外になるかもしれません」といっています。

しかし、修学旅行などについては引率の先生がいて一定の規律に基づいて実施されるため、若者の団体旅行には該当しないといっています。高齢者や若者が何歳から何歳なのか、団体は何人なのか、などまだ基準があいまいなままです。

こうして現場に混乱が生じているGoToトラベル。22日から始まりますが、全国の感染者が広がっているこの時期に観光を促すことについて、いまだに国民からは疑問の声があがっています。

観光産業は疲弊しており、応援したい気持ちがあっても、行く方も、迎える方も、不安を抱えている状況で、本来目的とした政策の効果が得られるのでしょうか。

2020年7月21日放送 news every.「ナゼナニっ?」より