自殺を食い止めるにはどうしたら良いのか?
“「死んで欲しくない」と率直に伝えることが大事”~自殺防止の活動に取り組む石井綾華さん(NPO法人ライトリング代表理事)に自殺を食い止めるにはどうしたら良いのか、話を聞いた。
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石井さんは、死を考えている人は友達に自分の気持ちをわかってもらえるはずがないという思いや、否定されることへの恐れが強いという。
「しっかりした自分」「さわやかな自分」「完璧な自分」など、自分のイメージを崩したくないためだ。それゆえに、自分の気持ちを隠したまま、衝動的に死を選んでしまう場合がある。
身近な人は、前兆となるサインを知っておくことが大事だという。
■気をつけるサイン■
それまでと行動が変わる。「ありがとう」とよく言うようになったり、睡眠や食事のリズムが変わってしまうなど、それまでと行動が変わるのはサインだ。
夜眠れていない、などは一緒に暮らしていなくてもSNSの使用の状況から気づくこともあるので気をつけてみる。
■死にたい気持ちの人に伝えてあげて欲しいこと■
死にたい自分を責めないであげて欲しいということ。
自分の感情を大切なものとしてまず認めてあげる。自分だけで解決しようとしないで、誰かに頼って欲しい。勇気がいると思われるがSNS、電話、訪問、今は相談はいろんな手段がある。
■死にたい気持ちを解消する方法■
1.気持ちを受け入れてくれる人に吐き出す。解決まではしないかもしれないが話をすることだけで少し気持ちが楽になる。
2.「たいしたことない状態」に持っていく。例えば、いつもと違う駅で降りて散歩するなど、“通常の生活と違う世界を生きる自分”を想像してみる。
3.問題そのものを見つめて整理する。紙に書き出してみるのも良いしカウンセラーを頼っても良い。複数の悩みを抱えたために「死ぬしかない」と思ってしまっている場合、書き出すことなどで、「ああ、自分はこの3つのことで悩んでいるんだな」と客観的な視点に立つことができ、楽になることがある。
4.自分を苦しめていることから離れる。例えば情報から離れる。ソーシャルメディアなど様々な媒体からストレスになるものが流れてくるので見たくなる気持ちもわかるが、自分を傷つけたり動揺させるものからできるだけ離れる。離れることで本来の自分を取り戻す。
■死にたいと思っている人の話を聞く際のポイント■
死にたいと思っている相手の気持ちをくみ取る。「死にたいほど辛い気持ち」に目を向けてそう思うようになったきっかけを、“受容的”に聞くことがポイント。
「あなたは今苦しいんだね」というのを受け止めてあげることがとても大事になっていく。笑い飛ばしたり、逆に「ダメだよ」と否定したりするのはお勧めできない。必ずしも「解決してあげよう」とか「うまい言葉をかけよう」と思わないで大丈夫。暗い気持ちを吐き出せる相手がいるだけでもずいぶん救われる。
また、「あなたが元気なくて気になる」「死を考えているのではないかと心配だ」と率直に伝えることが大切。心配する気持ちを穏やかに伝えて、力になりたいと示す。そういう人が近くに存在するよということを示す。
自死を止めた理由に、「身近な人が悲しむことを考えてやめた」というのが多い。大事な人に迷惑をかけたり悲しむ顔を見たくないために自死しない選択をとる人もたくさんいる。
■若者の自殺予防で有効な支え方の一つ■
「私はあなたに死なないで欲しい」というメッセージを伝えていくこと。「あなたを大事だと思っている。死んで欲しくない」と伝える。その一言で死を止めることができることもある。