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苦境の“絶メシ”残したい…各地で動き

2020年7月20日 19:56
苦境の“絶メシ”残したい…各地で動き

歴史が途絶えてしまうにはもったいない絶品グルメ、いわゆる“絶メシ”が注目されています。今、新型コロナウイルスなどの影響で苦境に立たされる中、なんとか残そうとする動きが各地で広がっています。

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東京・新橋にオープンした飲食店。人気メニューは、あつあつ卵とごはんにホワイトソースをたっぷりかけた白いオムライスに、カレー風味でボリューミーなポークソテーライス。

実はこれらの商品は全国各地の「他店の看板メニュー」。そんな人気の味が一堂に楽しめるということで注目されているのです。そして、ここで出されるメニューには共通点があります。

カレーを提供している群馬県の店は、昭和12年創業の老舗食堂。創業時からかわらないというカレーのルーは、ラード・小麦粉・カレー粉だけで作られたシンプルなものですが、お客さんには大人気。しかし、店はピンチに陥っています。

松島軒店主・木内健太郎さん「コロナの影響で売り上げが笑いが止まらないぐらい落ちた」

新型コロナによる打撃で店の先行きに不安が。しかし、常連客は…。

常連客「なくなっては困る店ですね」

そんな中、店主に声をかけたのが、あの東京の飲食店だったのです。

烏森 絶メシ食堂・大久保伸隆社長「東京にいながら、移動せずに応援できるんじゃないかと思って」

この店は、息絶えてしまいそうな地方の味、いわゆる“絶メシ”を救うため、レシピの提供や販売許可をもらうかわりに、売り上げの一部を還元するなど支援を行うという新たな営業スタイルの店なのです。

烏森 絶メシ食堂・大久保伸隆社長「支援をして、より長く地域で店を続けてほしい」

群馬の店では「東京で食べた」という客の声が届くなど、反響も出ているということです。

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一方、新潟県妙高市にある店の、幻と言われる田舎そば。材料に、オヤマボクチという草餅にも使われる希少な植物を使っていて、柔らかなのどごしと弾むような歯ごたえが生まれます。しかし、店主は…。

長沢茶屋店主・大野英子さん「しんどいです。私ももう年だからねえ」

そば打ちをする体力が残っていなかったのです。そこで動いたのは市役所。この地区に移住して店を継いでくれる人を募集したところ、東京でそば店を経営していた小林彰さんが名乗りを上げました。自身の店を畳んで新潟に来た小林さんですが…。

小林さん「こういう感じでいいですか?」

大野さん「そんなにダメダメ」「このそばは簡単にはできません」

店主の厳しい言葉。さらに、4月には、新型コロナの影響で店のオープンが延期になりました。しかし、小林さんは…。

小林さん「前向きにとらえて、そばの練習をしたというか」

必死に練習に取り組んだ末、6月、待ちに待ったオープンを迎えました。最初の客は、なんと、店を切り盛りしていたおばあちゃん。果たして味の評価は…。

元店主・大野英子さん「小林さんすごいね。こんな上手になるなんてね」

小林さんも一安心です。さらに店内も満席に。

長沢茶屋・小林彰さん「思った以上にお客さんが来てくれて、すごくありがたい」

今月も順調に客足を伸ばしているということです。