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“改ざん”命絶った夫…妻「真実知りたい」

2020年7月15日 18:38
“改ざん”命絶った夫…妻「真実知りたい」

森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員の遺族が、国などに損害賠償を求めている裁判が始まりました。

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15日午後3時すぎ――。

赤木雅子さん「夫は亡くなった日の朝、私に『ありがとう』と言ってくれました。最期の夫の顔は絶望に満ちあふれ、泣いているように見えました。まじめに働いていた職場で何があったのか、何をさせられたのか、私は知りたいと思います」

夫の死の真相を知りたいと語った赤木雅子さん。財務省近畿財務局の職員だった夫・赤木俊夫さんは、財務省の文書改ざんに関わったことを苦に2018年、自殺しました。

自殺した赤木俊夫さんの遺書――。
「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」

発端は、国有地が森友学園に対し8億円値引きされ売却された問題。背景に安倍首相の妻・昭恵夫人と森友学園側の関係があるのではと批判され、財務省が手を染めたのが昭恵夫人にかかわる記述を消すなどの“文書改ざん”でした。

自殺した赤木俊夫さんの手記――。
「元はすべて佐川理財局長の指示です。現場として私はこれに相当抵抗しました」

裁判前の13日、私たちの取材に応じた雅子さんは――。

赤木雅子さん「内閣が吹っ飛ぶようなことをしてしまったと何度も聞いた。死にたい、死にたいとずっと言っていた」「『いまの健康状態と体力では、この方法をとるしかありませんでした』というところが一番気になってて、その時にもっと気持ちを理解してあげたらよかったとすごく後悔してる」

人事院から自殺に至る経緯が記された文書が届いたといいますが‥。

赤木雅子さん「中開いてみたらこんなに真っ黒だった。何もわからない。なんで、こんなバカにされたことされるんやろうと。何か隠したいことが夫の死に関してはあるんじゃないかと思った」

検察は、当時の財務省の佐川理財局長ら全員を不起訴処分として、捜査を終結。政府も再調査をしないとしています。

雅子さんは、「改ざんを強制され、業務と自殺との間には相当因果関係がある」として、国と佐川氏に対し、損害賠償を求める裁判を起こしました。

その裁判がはじまった15日。雅子さん自ら法廷に立ち、「私は真実が知りたいです」と語気を強めて語りました。

赤木雅子さん「安倍首相も麻生大臣もすでに検察の捜査も済んでいるので調査しないと夫のことを切り捨てました」「再調査を実施して正直にすべて明らかにしてください」

一方、国側と佐川氏側は、請求棄却を求め争う方針を示しています。