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“僕を笑ってください” 寝たきりの芸人

2020年6月1日 13:21
“僕を笑ってください” 寝たきりの芸人

寝たきりの僕を笑えますか?でも、笑ってください!お笑い芸人ですから。

お笑い芸人・あそどっぐ「また来月も調子乗るぞー!」

あそどっぐこと、阿曽太一(たいいち)さん。この動画YouTubeで100万回再生されました。良い反応ばかりではありませんが…。

あそどっぐ「批判的なコメントも“いじり”として笑いに変えたりも出来るので。アンチもうれしいですね」

生まれてすぐに、全身の筋肉が弱っていく難病「脊髄性筋萎縮症」と診断されました。

今は市営住宅で一人暮らし。15人ほどのヘルパーが24時間交代で生活を支えています。

寝たきりでもお笑い芸人。ストレッチャーを押すヘルパーとともにステージに立ち…いや寝ています。

あそどっぐ「コント・私立寝たきり学園」

あそどっぐ「(修学旅行で)バスにはストレッチャーが1台しか載らないので、1クラス30人、3クラス。計90台のバスで行きました」

“障害者のイメージ”だって逆手に取って、笑いに変えます!お笑い芸人ですから。

初めてネタを作って披露した高等部時代。

あそどっぐ「2400香港ドルです」

相方「持っとるかーい!」

あそどっぐ「笑ってもらえるのがこんなにも気持ち良いものだというのが忘れられなくて。あそどっぐの原点です」

卒業後もネタ作りを続けましたが、相方が23歳で亡くなり、車椅子に座れていた自分も寝たきりに…。今はヘルパーを相手にネタ作り。

あそどっぐ「どうも『あそどっぐ』です。『笑うのもボランティアですよ』いるかな?」

ヘルパー「うん」

あそどっぐ「いる?」

ヘルパー「うん」

動かせる口元と左手の親指だけ使いネタ動画を作ります。売れっ子への道のりはまだまだ険しいですが、講演会の依頼は増えています。招かれたのは母校。

恩師「大活躍やね」

高等部時代の恩師が活躍を知り、オファーしました。

恩師「YouTubeの『空手家』、コメントが2万を超えていたよ」

あそどっぐ「ほとんどが悪口です。広告収入が入るんです、僕には。悪口を書いてもらえるおかげでがっぽがっぽ」

恩師「すごいくだらんネタでなんであんなに反応するのか」

あそどっぐ「くだらんネタではない!(笑)」

仕事で東京へも向かいます。この日は障害者芸人によるトークライブに出演します。

芸人「聞いちゃいます?性とか?」

あそどっぐ「僕は風俗を呼ぶんですけど。ヘルパーさんはお出かけしてもらうんですよ。前、帰っちゃったことがあって、女の子が。『私、無理』って言って。帰られるとヘルパーさんもその時間に合わせて(外に)行くんで、90分1人で死にかけたんですよ!(笑)」

自虐ネタでトークを盛り上げる“芸人あそどっぐ”ですが…。進行性の難病と今も闘っています。

ヘルパー「吐いて、吐いて」

あそどっぐ「あの部分見せると自分の障害の弱い部分を見せるので、笑いということだけに関するとマイナスだと思うんですよ。でもそんなのはいいかなと思って。全部ひっくるめて出して、その上で笑ってくれる人、応援してくれる人を大事にしたい」

あそどっぐ「寝たきり芸人・あそどっぐです。よろしくお願いします」

特別支援学校に招かれ、卒業後の進路についてアドバイスします。あそどっぐと同じ難病の生徒もいました。

あそどっぐ「ちなみに皆さん卒業後どうしたい?」

特別支援学校の生徒「大学に進学をしたい」

あそどっぐ「いいね、すごいね」

あそどっぐ「僕の子どもの頃から比べたら皆さんチャンスです。障害があっても『一緒にやろうぜ』という人が増えています。社会に出て『誰かに迷惑をかけるかな』『これを頼ったら迷惑かかるかな』と思うことがあるかもしれません。でもね、自分の出来ないことは、どんどん頼ってください」

“自分らしく生きて欲しいな~”

“芸人・あそどっぐ”からのメッセージ。

あそどっぐ「夢を持ってそこに向かって動くというのは、自分の体にとっても心にとっても後に続く後輩にとっても良いことなのかなと思います。今だいぶ良いこと言っていますよね、ハハハハハ」

※福岡放送で制作したものをリメイク。2020年5月放送、NNNドキュメント「僕を笑えますか?~障害者×お笑い~」より。

【the SOCIAL×NNNドキュメントより】