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最前線の医師と看護師の“不安”…物資不足

2020年4月28日 19:11
最前線の医師と看護師の“不安”…物資不足

医療の現場では、感染拡大を防ぐギリギリの戦いが行われています。私たちは最前線の医師と看護師に話を聞きました。そこには必要な物資が不足するなか、患者との心の距離感に悩む医療従事者の姿がありました。

国際医療福祉大学成田病院、津島健司副院長「防護服はやはりギリギリのところでやっています。フェースシールドに関しては使い捨てのものはもうなくなりました」

『医療物資のひっ迫』を訴えたのは、先月、開院した千葉県の国際医療福祉大学成田病院の津島健司副院長。

現在、およそ25人の患者を受け入れていますが、診察に必要な医療物資が、底をつきそうな状態なのです。

津島健司副院長「これはリユース(再利用)のフェースシールドになります。自分でふいて再利用するということなので、感染リスクは抑えきれないというか不安ではあります」

ゴーグルやフェースシールドは、病院独自でかき集め、繰り返し使っている状態。政府に「医療物資の配布」を求めています。

津島健司副院長「いろんな備品がどんどん消費されていくので、うちも一生懸命頑張ってはいますけれども、なんとか(医療物資を)回してほしいというのがあります」

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また、この病院で働く50人の看護師も、普段、経験のない事態に直面しているというのです。

看護師、林裕子さん「通常の看護師の仕事は、患者さんの元に行ってお話を聞いたり状態を観察したりするのがメインなんですけど、いま真逆のことをやっている。(病室へ)行きたくても行けない葛藤があります」

慣れないナースコールを使って問診をするなど、患者の体調を直接見られないことが大きなジレンマになっています。また、“問題のある患者”が現れることも…。

看護師、宇佐見治子さん「社会の中でも『自分は大丈夫』と言って自粛されない方がいらっしゃる。病院の現場でもそういう考えを持っていらっしゃる方もいる」

症状がないことを理由に、軽症患者が勝手に病室を出ようとするなどの事例がまれに起きるといいます。

看護師、宇佐見治子さん「私たちにうつらないように協力していただきたいと、毎日説明させていただいてます」

自宅に帰ればそれぞれ、同居する家族がいます。感染させないよう、勤務には不安がつきまとうといいます。病院は、看護師らのメンタル面を考慮し、院内に心理療法士の相談窓口を設けています。

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一方、別の病院から相談をうけ、立ち上がった町工場があります。

トライキッツ、河合広介社長「とにかくもう早く早く、1日でも今日にでもほしいって言われてきたので、困られてる方(病院)から」

東京・大田区で車のパーツ製造を請け負っていた会社。先週、地元の病院などから相談を受け、“ある医療物資”の製作に取り組みました。それが、不足しているフェースシールドです。本来の業務をストップして、わずか4日で3000個を完成させました。

トライキッツ、河合広介社長「命を守るものづくり、SAVE THE LIFEっていうコンセプトのもとやってますので」

今後は、区内で休業中の飲食店店員らに組み立て作業を手伝ってもらい、フェースシールドの量産をはかる予定です。