製造、通信、銀行…“出勤7割減”各企業は
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、安倍総理大臣は7都府県の全事業者に対して、出勤する人を最低でも7割減らすよう求めています。これを受けて各企業は、テレワークをさらに拡大することはできるのか、模索が続いています。
■製造業では…
テレワークの実施について、製造業では、工場での生産など現場に出向かなければできない仕事が多くあり、限界があります。
しかし、製造業でもオフィス部門では、すでに多くの大企業がテレワークを拡充し、在宅勤務を増やしています。
埼玉などに工場をもつホンダは、オフィスや研究所に勤める全ての従業員を原則出社させず、工場の従業員などをのぞいて、現在、全体のおよそ6割を在宅勤務としています。
さらにトヨタでは、愛知県が先週、独自に出した「緊急事態宣言」を受けて、公共交通機関を使って愛知県内の事業所に通う従業員について、13日から原則、在宅勤務としました。
一方で、ホンダ、トヨタはともに人との接触が少ない車通勤の従業員に対しては出社を認め、工場の生産ラインを稼働させる対応をしているということです。
ただし、メーカーの関係者によると、生産を維持するためには工場で働く従業員をこれ以上減らすことは難しいということです。
■通信大手3社は…
NTTドコモなど通信大手の3社も、テレワークは積極的に取り入れられており、主に出勤しているのは通信の保守・監視や個人情報を扱う業務などに関わる社員のみとなっています。
東京・汐留にあるソフトバンクの本社では、8割ほどの社員が自宅などで働いているほか、KDDIでも社員およそ1万6000人の4分の3にあたる1万2000人がテレワークを行っているということです。
ただ、各社とも携帯ショップの営業は続けているため、閉店時間を早めるほか、シフトの調整を行い、出社するスタッフを減らしています。
またauショップでは、交通網が止まるなどしてスタッフの通勤が困難となる場合は臨時休業も検討するとしていますが、当面は客やスタッフの感染防止のため接客カウンターに透明のアクリル板を設置して営業を続けます。
■銀行では…
一方、原則として当面は全店での営業を続ける方針のメガバンクでは、感染拡大を防ぐために出勤する職員が一日おきに交代するシフトを組み、一部業務を縮小するなどの対応をとっています。
ただ、政府による「出勤者7割減」の要請について、一部の銀行からはすでに「事業者の資金繰りなどで対応する支店の窓口業務がパンパンと聞いている」「今の状況ではマックス(最大限)できても5割減だ」などの声もあがっています。
「出勤者7割減」が金融機関も対象となれば、一般の利用者にとって必要な社会インフラとしての業務の継続が厳しくなるとの指摘もあり、各金融機関は難しい判断を迫られています。